5月ももう半ばを過ぎ、そろそろ衣替えの季節が到来です。でも服を整理していると、今シーズン一度も袖を通さなかった服もちらほら……。
お店ではすごく素敵だったのに、家に帰って見るとそれほどでもなかったり、「特別な日のために」と買ってみたものの、特別な日が訪れなかったり……。服を整理するたびに反省を繰り返してしまいます。こんな時、頭をよぎるのが『フランス人は10着しか服を持たない』という本です。今回は自戒の意味も込めて、服と暮らしの質について考えてみたいと思います。
『フランス人は10着しか服を持たない』ってどんな本?
『フランス人は10着しか服を持たない』(ジェニファー・L・スコット)。
これは、アメリカのカリフォルニア州からフランスに留学した著者が、フランス貴族の末裔の家庭にホームスティした際に目の当たりにした、ホストファミリーの暮らし方に感銘を受け、エッセイにまとめた著書。
サブタイトルに「パリで学んだ“暮らしの質”を高める秘訣」とあるように、ファッションのことではなく、ライフスタイルについて書かれた本です。
例えば食器など、特別なものを特別な日のためにしまっておくのではなく、普段使いにすることで、毎日が特別であることを意識できるようになったり……。
服についても、ずっと着ることのない服を大量に持つのではなく、少量であっても自分に似合う服だけを持ってきちんと着る……。そんなことで、より充実した人生を送ることができるというメッセージが込められています。海外版の「断捨離」といったところでしょうか?
このエッセイはベストセラーになりシリーズ本も出ています。世界各国語に翻訳されていて、日本ではコミックにもなっていますね。
大切なのは自分の価値観を持つこと
本のタイトルは衝撃的ですが、もちろんフランス人が全員、10着しか服を持たないというわけではありませんし、フランスにもファストファッションはあります。ただ、フランスで暮らした経験のある方の話や、関連書籍などから類推すると、おしゃれだけど、持っている服の数はそれほど多くはなさそうです。
ではどうして、自分は必要以上に服を買ってしまうのか?と考えてみると、どうもほかの人の視線が気になっているように感じます。あまり同じ服を何回も着ていると、よい印象を持たれないのではないかと考えてしまったり、流行りの服を着てセンスのいい人と思われたかったり……。突き詰めて考えると、周囲からの評価を気にしている自分がいるようです。
『フランス人は10着しか服を持たない』に話を戻すと、暮らしの質を改善するには、人にどう思われても「自分は自分」と胸を張れるほど、価値観をしっかりと定める必要がありそうです。
無理をするのではなく、少しずつでも自分の身のまわりにあるものを整理していくことで、今まで気づかなかった自分らしさを発見できるかもしれません。
困ったときは、レンタルという手も
最近ではシェアという意識も、私たちの暮らしの中でごく当たり前のようになってきました。家や自動車など高価なものを個人で所有するのではなく、必要に応じて借りたり、共同で使用したりというだけではありません。ファッションレンタルというサービスも登場し、注目を集めています。レンタルと言っても気に入れば買い取りもできたり、服だけでなくブランドのバッグが借りられるものや、男性用のものもあります。こうしたサービスも活用しながら、無駄なく自分にとって本当に必要なものを見定めていくというのも、暮らしの質を上げる、ひとつの方法ではないしょうか?
先日の大統領選挙では、39歳のマクロン候補が勝利をおさめ、史上最年少の大統領が選出されたフランス。
彼を支えた24歳年上のブリジット夫人も、一躍話題の人となりました。20歳以上の年齢差はさておき、フランスでは年の差婚そのものは珍しくないのだとか。一人ひとりが自分の価値観をしっかりと持っていれば、結婚に年の差は関係がないのかもしれません。
参考:『フランス人は10着しか服を持たない~パリで学んだ“暮らしの質"を高める秘訣~』(大和書房)、『12年目のパリ暮らし パリジャン&パリジェンヌたちとの愉快で楽しい試練の日々』(ソフトバンククリエイティブ株式会社)、airCloset(HP)、Laxus(HP)