「タンポポ茶」「タンポポコーヒー」を飲んだことがありますか?
今、道端で元気に輝く西洋タンポポは、もともとヨーロッパより野菜として日本に明治時代に導入されました。
ヨーロッパではサラダとしても食されますが、日本では定着せず雑草化して今の姿となりました。
英語名は「ダンディライオン」。タンポポのギザギザの葉を「ライオンの歯」に見立てたフランス語から由来しています。ヨーロッパではその形から「星の金貨」とも呼ばれています。ぱっと明るい輝きを放つタンポポにぴったりの名前ですね。
さて、私たちに馴染みあるこの雑草のタンポポですが、むくみ対策や整腸作用のあるお茶やコーヒーとして親しまれていることはご存知でしたか?
このたびは、タンポポにまつわるよもやま話をみていきましょう。
太鼓の音でタンポンポン!「タンポポ」という和名はどこからきたの?
タンポポの綿帽子の形が大名行列の「タンポ槍」に似ているためという説があるそうです。
タンポポの語源は諸説ありますが、茎の部分だけをきりとり、数本の切り込みをいれて水につけると、ぱっとさきがひらいて鼓のようにみえるので、「タン・ポンポン」と鼓の音に由来するという説が有力です。
幼少のころ、ストローのようになったこのタンポポの軸に竹串を通して、風車や水車にして遊びませんでしたか?
綿毛を残さず一息でとばせるか「ふーっ」とありたけ吹いていた子ども時代を思い出しませんか?
タンポポは、「名前」までも元気で生命力にあふれていますね。
「タンポポ茶」「タンポポコーヒー」てどんな味?
古来より消化をうながしたり、腎臓の働きをたすけむくみをとったり、「タンポポ茶」がしたしまれてきました。
「タンポポ茶」は葉っぱや根の部分を炒ってお茶にしていただくものですが、痛風などの方で、タンポポの根を炒ってそのままきんぴらのようにして食べる食事療法もあったようです。ヨーロッパでも、古くから薬草として知られていました。近年は、根の部分のみを炒ったものが香ばしく美味しいばかりでなく、乳の出もよくなるということで、「タンポポ」コーヒーは、妊婦さんや授乳期のお母さま、カフェインレスのライフスタイルの方に人気です。
珈琲とは別の飲み物と思って飲めば、なんだか癖にになる香ばしさです。「タンポポ茶」「タンポポ珈琲」どちらも、お子様でも飲めますね。
この「タンポポ茶」「タンポポコーヒー」を手作りされる方もいらっしゃるようで、花の咲くこの季節は、花の咲く前の葉や根に栄養がたまっているそうで今が収穫の季節、旬だそうですよ。
教科書にも登場する賢い「タンポポ」のお話
小学生時代、教科書にでてきた「タンポポ」のお話に子供心に感心しませんでしたか?
ご家族やご親戚に小学生のお子様がいらっしゃる方は、より身近かもしれませんね。
この国語の教科書に登場する「タンポポ」の文章から、あらためて「タンポポ」の力強さやたくましさを感じ元気をもらうことができます。
「たんぽぽの ちえ」
春になると、たんぽぽの黄色いきれいな花がさきます。
二、三日 たつと、その花はしぼんで、だんだんくろっぽい色にかわっていきます。
そうして、たんぽぽの花のじくは、ぐったりとじめんにたおれてしまいます。
けれども、たんぽぽは、かれてしまったのではありません。
花とじくをしずかに休ませて、たねに、たくさんのえいようをおくっているのです。
こうして、たんぽぽは、たねをどんどん太らせるのです。
やがて、花は すっかりかれて、そのあとに、白いわた毛ができてきます。
この わた毛の一つ一つは、ひろがると、ちょうどらっかさんのようになります。
たんぽぽは、このわた毛についているたねを、ふわふわととばすのです。
このころになると、それまでたおれていた 花じくが、
またおき上がります。そうして、せのびをするように、
ぐんぐんのびていきます。
なぜ、こんなことをするのでしょう。
それは、せいを高くするほうが、わた毛に風がよくあたって、たねをとおくまでとばすことができるからです。
よく 晴れて、風のある日には、わた毛のらっかさんは、いっぱいにひらいて、とおくまでとんでいきます。
でも、しめりけの多い日や、雨ふりの日には、わた毛のらっかさんは、すぼんでしまいます。
それは、わた毛がしめって、おもくなると、たねをとおくまでとばすことができないからです。
このように、たんぽぽは、いろいろなちえをはたらかせています。
そうして、あちらこちらにたねをちらして、新しいなかまをふやしていくのです。
引用:「たんぽぽのちえ」光村図書 小学2年生教科書
新しい物事が少しずつ軌道にのり、進みだす初夏。道端の金色のタンポポがエールを送ってくれているようです。
体調管理に気をつけて、賢く元気にお過ごしください!
参考:「自然ぐすり」森田敏子 ワニブックス
「家庭でできる自然療法」東城百合子 あなたと健康社
「散歩が楽しくなる雑草手帳」稲垣栄洋 東京書籍