つい先日まで満開だった桜も、いつしか若々しい緑の葉に覆われるようになりました。4月も気が付けばもう後半に突入。間近に迫ったゴールデンウィークに向けて準備に余念がないという方もいらっしゃるのではないでしょうか?
さて、連休と言えば旅、旅と言えば鉄道、ということで今回は、「ことでん」の愛称で知られる高松琴平電鉄についてご紹介します。うどん県で名高い香川を走るローカル鉄道、ことでんはサービス精神旺盛。連休中には「レトロ電車特別運行」など、さまざまなイベントも開催される予定です。ぜひチェックしてみてください。
100年以上の歴史ある鉄道・高松琴平電鉄が今すごい!
高松琴平電鉄は、太平洋戦争中の昭和18(1943)年11月1日、琴平電鉄株式会社、高松電気軌道株式会社、讃岐電鉄株式会社と、鉄道会社3社の事業統合によって誕生。2011年には100周年を迎えた歴史ある鉄道会社です。「讃岐のこんぴら様」として親しまれる金刀比羅宮の参詣路線として生まれた琴平線、讃岐平野を東へ走る長尾線、そして海沿いを走る志度線の3つの路線があります。
金刀比羅宮
香川県仲多度郡の琴平町に聳える象頭山の中腹に社殿を構えている神社です。石段が延々と続く参道が有名で、奥社までの石段数は1368段にも!アクセスマップ
駅ナカにホームパブ? ことでんの驚きのサービス
ことでんの魅力は電車から見える風景だけではありません。まず、運行している車両。
京急(京浜急行電鉄株式会社)や京王(京王電鉄)、名古屋市営地下鉄でかつて活躍していた懐かしい車両が今も走っています。2017年のゴールデンウィークのイベントでは、1957年から1958年にかけて製造された、元京浜急行のデハ600形撮影会や、製造から91年を迎える車両の特別運行などもあります。
また、貸し切りサービスも充実。車内にケータリングなどで料理の持ち込みができるほか、オリジナルのヘッドマークを作ってくれたり、車両基地見学や子どもには車内放送などの体験もできます。さらにすごいのは、オリジナルの運行ダイヤ。例えば2時間なら2時間と、貸し切りにしたい時間に合わせて運行速度や折り返し地点を調整して、特別なダイヤを組んでの運行もしてもらえるそうです。
さらに、ことでん高松築港駅には日本で唯一、駅ナカホームパブ「Beer Pub Station」もあります。駅ナカへの入場は「飲みに来ました!」の一言で無料に。世界レベルのクラフトビールが楽しめます。
丸亀城
「高松築港駅」から徒歩5分の「玉藻公園」は、国の史跡に指定される高松城跡や、香川県立ミュージアムなど立ち寄りたいスポットが盛りだくさん。素晴らしい天守台展望デッキからの眺めもチェックを!
マスコットキャラ「ことちゃん」に隠された大人の事情とは?
ことでんのマスコットキャラクターは、イルカのことちゃん。ポッコリお腹がかわいい青いイルカのキャラクターで、イルカ駅員さんとして勤務しています。大好物は生卵をゆでたてうどんに絡めて食べる、釜玉。さすがはうどん県を自任する香川県の鉄道会社です。ちなみに、お嫁さんはピンクのいるかのことみちゃん。二人(二頭?)は2011年に、金刀比羅宮で結婚式を挙げています。
さて、2002年に登場したことちゃんですが、同社のホームページに記載されているプロフィールを見ると、「2002/8/8 ことでんの大人の事情により『ことちゃん』誕生」とあります。
実はこのころ、ことでんは経営が悪化、2002年8月8日に新社長を迎えて、新しい出発をしました。当時は沿線の人々にも、鉄道は必要だけどことでんは要らないと言われる始末。「ことでん要るか?要らないか?」という話になったとか?そのため、自らを戒める意味も込めて、「要るか」=「イルカ」をマスコットキャラクターに起用したのだそうです。
ちなみに、ことでんのICカードの愛称は「IruCa(イルカ)」です。
今なら間違いなく「ことでん要る」!心機一転、魅力的あふれる鉄道へ
ことでんのサービス精神の裏には、過去の苦い経験がありました。「要らない」とまで言われたところから心機一転の再スタート。一度は乗ってみたい、魅力的あふれる鉄道に、見事に生まれ変わっています。
── 元京浜急行のデハ600形撮影会や、製造から91年を迎える車両の特別運行など、ゴールデンウイークのイベントも見逃せません。四国・香川への旅を計画されている方は「その旺盛なサービス精神」を、この機会にぜひ体感してみては!
参考HP:ことでんグループ、香川県観光協会、いい葬儀マガジン