台風10号や暖かく湿った空気の影響で、関東にも活発な雨雲がかかりやすくなっています。動きの遅い台風の影響で、9月初めまで雨が降り続く見込みで、関東も南部を中心に総雨量が増え、記録的な大雨となる恐れがあります。土砂災害や低い土地の浸水、河川の増水など注意、警戒。
●ノロノロ台風 関東も長期戦で影響
台風10号は、午後3時現在、長崎県雲仙市付近を時速15キロで北上中です。
上陸後は、やや勢力は衰えたものの、このあと速度がまた遅くなり、明日30日にかけてゆっくりと九州を縦断。明日30日午後3時の時点で大分市付近を通る予想です。
その後もスピードが上がらないため、予報円がかなり折り重なっています。明後日31日午前中にかけて四国を通り、9月1日頃は近畿地方でほとんど停滞する見込みです。西日本を縦断する際の速度がかなり遅く、大雨や暴風の影響が長引くでしょう。
台風は自力では動かず、周りの風に乗って流されて動きますが、上空の偏西風に乗れず、予報円が大きく進路が定まらない状況です。9月に入っても台風の影響の続く所があり、長期間警戒が必要となるでしょう。
●九州で記録的な大雨 総降水量が増え続ける
台風10号が上陸した九州では、記録的な大雨となっています。
午後2時30分までの72時間降水量は、宮崎県美郷町神門で827.5ミリ(8月1位を更新)、えびの高原で794.5ミリ、九州北部でも雨量が増え、大分県佐伯市で595.0ミリ(統計開始1位)となりました。宮崎市内では竜巻の被害も相次いで発生、大分県由布市は湯布院町の宮川が氾濫しました。
また、台風10号の北側には前線が停滞しているため、西日本から東日本の広い範囲に帯状に雲がかかり、局地的に発達しています。
台風からかなり離れた場所でも大雨になっている所があり、三重県津市では午後0時18分までの1時間降水量が73.5ミリの非常に激しい雨を観測し、午後2時30分までの72時間降水量は363.5ミリに達しています。
午後3時現在、関東甲信も局地的に雨雲がかかり、都心も雨が降りだしています。
●関東でも記録的大雨となる恐れ
台風本体から離れた所でも、雨量がかなり増える見込みです。
中国、四国や近畿から関東にかけての太平洋側を中心に断続的に雷を伴った激しい雨や非常に激しい雨が降るでしょう。
東海地方でもすでに300ミリを超える記録的な大雨となっている所がありますが、関東地方も、今夜から雨が降り続き、本格的に雨量が増える見込みです。関東甲信で明日30日午後6時までに予想される24時間降水量は多い所で250ミリ。その後、30日午後6時から31日午後6時までに予想される24時間降水量は多い所で、200ミリとなっています。
8月1か月の平年の降水量は東京が154.7ミリ、神奈川県箱根町で346.1ミリです。予想通りに降れば、たった1日、2日でまる1か月分の雨が一気に降る日が続く恐れがあります。
台風の中心から離れた場所でも警報級の大雨が9月に入っても続く恐れがあります。関東は9月3日にかけて大雨警報が発表される可能性が「中」程度あるということです。大雨に早めに備えて、週末は予定の変更を検討するなど安全第一でお過ごしください。
●台風が近づく前の対策 大雨に備えて
大雨の事前に備えておくポイントは、次の3つです。
1つめは、水害に備えて、雨どいや排水溝、側溝を掃除し、水はけを良くしておきましょう。砂利や落ち葉、ゴミなどが詰まっていないかも、確認しておいてください。
2つめは、浸水による被害を防ぐため、家財道具や家電製品、食料品などは、可能な限り、高い所や2階以上へ移動させておくと良いでしょう。押し入れの下の段に入っているものは、上の段に移しておくだけでも、被害を小さくできます。
3つめは、電源のコンセントは抜いておくと良いでしょう。電源のコンセントが水につかると、漏電やショート、感電の恐れがあります。
いずれも、台風が近づいてから備えるのではなく、台風情報を確認して、早めに対策を行ってください。