7月上旬は、関東から九州は暖かい空気に覆われる日が多く、記録的な高温になった地方もありました。ちょうどこの頃、北アメリカ西部で熱波など、世界各地での異常な高温が話題になりました。北半球では、秋にかけて高温傾向が続く予想です。地球温暖化の影響は、近年の高温の原因ですが、今年は他にも様々な影響があります。
●「長期間の高温に関する全般情報」 7月上旬は記録的な高温 暑さ続く
気象庁は、昨日26日に、東日本太平洋側と西日本の長期間の高温に関する全般情報を発表しました。農作物や家畜の管理、熱中症などの健康管理に十分注意するよう呼び掛けています。
この発表によると、関東甲信地方、東海地方、近畿地方、中国地方、四国地方、九州北部地方(山口県を含む)、九州南部では、7月上旬から暖かい空気に覆われて気温の高い日が多くなっています。7月上旬の平均気温平年差は、関東甲信地方で+3.6℃、東海地方で+3.4℃、九州北部地方で+3.0℃、九州南部で+3.1℃と、1946年の統計開始以降、7月上旬としては最も高く、記録的な高温になりました。
7月中旬は平年並みの気温になりましたが、各地の梅雨明け後は太平洋高気圧に覆われて晴れて気温がかなり高く、最高気温が35℃以上の猛暑日が続いた所もありました。
今後も、更に1か月程度は暖かい空気に覆われて気温の高い状態が続き、最高気温が35℃以上となる所もある見込みです。
●日本だけじゃない 北アメリカなどで熱波 世界の日平均気温は過去最高に
上の図は、日本が記録的な高温に見舞われた7月上旬、北半球の上空1500メートル付近の気温です。気温が平年より高い赤色が目立ちます。
ちょうどこの頃、世界各地からも異常な高温が話題になりました。
例えば、北アメリカ西部では、上空から高気圧が空気を押し下げ、地上付近の空気が圧縮されることにより、さらに気温が高くなる「ヒートドーム現象」に見舞われ、ラスベガスで7月7日、48.9℃を観測しました。
欧州連合(EU)の気象情報機関であるコペルニクス気候変動サービスによる23日の速報によると、世界の日平均気温は、7月21日に17.09℃に達し、これまでの最高記録であった昨年2023年7月6日の17.08℃を更新。翌日22日には17.16℃に達し、さらに記録を更新したとのことです。
参照:Copernicus HP
https://climate.copernicus.eu/new-record-daily-global-average-temperature-reached-july-2024
●高温傾向は秋にかけて続く 地球温暖化など様々な影響
日本では、多くの地域で年間で最も暑くなる今後1か月程度、気温が高い状態が続く、という発表がありましたが、秋の訪れも遅いでしょう。今年も残暑が厳しくなりそうです。
上の図は、北半球の8月から10月の上空1500メートル付近の気温の予想です。日本を含む多くのエリアで、気温が平年より高いオレンジ色になっています。高温傾向が続くのは、どうやら日本ばかりではなさそうです。
地球温暖化の影響は、近年の高温の原因ですが、今年は他にも様々な影響があります。
春までエルニーニョ現象が続いていたこともその一つです。エルニーニョ現象は地球全体の平均気温を上昇されます。さらに今後、秋にかけてラニーニャ現象が発生する可能性が高くなっています。エルニーニョ現象からラニーニャ現象へ移行する時期は、日本などがある中緯度帯の気温が上がることが知られています。
日本付近に注目してみると、ラニーニャ現象などの影響で、チベット高気圧が北へ偏り、偏西風は日本付近で平年より北寄りを流れやすいでしょう。このため、日本では、さらに暖かい空気に覆われやすくなります。北日本の近海の海面水温が、昨年に続き、顕著に高いことも高温になる一因とみられます。