きょうは二十四節気の「処暑」。暦の上では暑さは峠を越える頃とされていますが、北陸地方は、秋も高温傾向が続くでしょう。夏の疲れが出やすいこの時期、特に十分な睡眠の確保と栄養を摂るように心掛けて下さい。また、このあとも台風シーズン・秋雨シーズンは続きます。短期的な大雨にも注意が必要です。
●長期的な気温上昇 今夏は既に猛暑日日数が過去最多の所も
図の折れ線グラフは、北陸4地点の夏(6~8月)の平均気温、右肩上がりの直線はその変化傾向を示しています。4地点全てのデータを確認できる1939年以降、変動しながらも、4地点のいずれも約80年間で1度以上上昇しています。
また、棒グラフは同地点の最高気温35℃以上の猛暑日日数を示しており、特に、30年前の1993年頃から猛暑日が頻繁に現れるようになっています。今夏は昨日22日までで、福井は26日、金沢は13日、富山は23日の猛暑日を観測、何れも観測史上1位となった他、新潟もあと1日で観測史上1位となる段階まで来ています。
23日11時時点で、福井・金沢・富山・新潟の4市では既に35℃以上を観測。猛暑日日数を更新中で、新潟も観測史上1位の猛暑日日数となりました。
●熱中症警戒アラート 富山は昨夏の6倍超え しっかり海風もあるフェーン
熱中症警戒アラートは、予測に基づいて「暑さ指数(WBGT)」が計算され、熱中症の危険性が極めて高くなると予測される暑さ指数33以上の計算地点が1地点でもあると、その自治体単位ではなく県全域を対象に、前日の前日17時または当日5時に発表されます。
図の左側の棒グラフは、本格運用された2021年から今夏(~8/22)までの、「熱中症警戒アラート」の発表状況を示しています。今夏の記録的な猛暑に対応して、4県の発表回数は何れも増加しています。中でも富山県は、2022年にはわずか4回(猛暑日は21日)でしたが、今夏は25回(猛暑日は22日までで23日)と6倍以上に大幅に増えています。2022年と2023年(~8/22)とでは猛暑日日数はわずか2日の差しかなく、これにはカラクリがありそうです。
図の右側は風配図で、富山で猛暑日だった日の最大風速を観測した時の風向を示しています。2022年のように、従来フェーン現象が発生した場合、日中を通して、西よりまたは南よりの山超えの風が継続し、図では両者を合わせて80%以上を占めています。最高気温は昼過ぎに観測されるケースが多く、空気は乾燥するので、湿度の計算ウェイトが高い暑さ指数の計算では、極めて危険な33以上となるケースは多くありませんでした。
一方、今夏の状況は言わば「海風になるまでフェーン」。風配図では、北北東が最多で35%、北や北北西を含めると半数以上となり、2022年とは状況が異なります。最高気温は午前中には観測され、その後は海陸風の海風が沿岸部を中心にしっかり吹くケースが多く、気温の上昇はある程度抑制されます。また、海風に変わると海上から相対的に湿った空気が流れ込み、乾燥を抑制する効果もあります。フェーンが持続しないため、湿度が上がり、湿度の計算ウェイトが高い暑さ指数の計算では、極めて危険な33以上となるケースが多くなると考えられます。
●3か月予報 残暑がきびしい
8/22、新潟地方気象台は、北陸西部の福井・石川・富山と北陸東部の新潟の4県を対象とした「北陸地方の向こう3か月の天候の見通し」を発表しました。
そのポイントは「暖かい空気に覆われやすいため、向こう3か月の気温も高い」ということです。
更に、同気象台からは高温に関する早期天候情報も発表され、27日頃からかなりの高温が予想されています。
既に暑さによる深刻なダメージが蓄積され、全国で亡くなる方も確認されてますが、このあとも残暑が厳しいということです。最高気温だけにとどまらず、最低気温も高い状態が続き、寝苦しい日がまだ多い見込みです。
夏の疲れが出やすいこの時期、特に十分な睡眠の確保と栄養を摂るように心掛けましましょう。熱中症対策として、適度な塩分と喉が渇く前の水分補給も継続して下さい。一部では水不足の懸念もあります。水道の蛇口はこまめに閉めるなど出来る範囲で節水にも気を配りながら、農作物の水の管理や家畜の暑さ対策も継続して下さい。
●3か月で平年並みでも短期集中の大雨に注意
図は過去、秋(9~11月)の期間に降水量が平年並みであった直近の4シーズンの降水状況を5日毎の短期スパンで示したグラフです。
4シーズンのいずれも、平年比が300%前後に達する短期集中の大雨の期間があることが分かります。その一方、無降水の期間やほとんど降水が観測されない期間もあり、大きく変動しています。これこそが、実生活への影響に近いものと考えられ、「3か月で平年並み」や「3か月でほぼ平年並み」でも油断は禁物だということです。
●台風 8月・9月は接近数最多 過去には敦賀・村上に上陸・再上陸も
8月や9月は太平洋高気圧の縁を回って日本付近を通過する台風が多くなります。
1951年~2022年の統計で、台風の中心が、新潟県・富山県・石川県・福井県のいずれかの気象官署から300km以内に入り、北陸地方に接近した数を集計すると、8月・9月ともに62個で最多となっています。
また、2010年9月8日に福井県の敦賀に上陸、1996年8月15日には新潟県佐渡島を通過して村上市付近に再上陸をするなど、北陸に上陸したこともあり、これからも台風シーズンは続きます。秋雨前線がからむと、恵みの雨を超えて極端な短期集中の大雨になることも考えられます。引き続き、大雨への備えも怠らないようにして下さい