きょう3月14日、日本気象協会は「2023年春の花粉(スギ・ヒノキ、北海道はシラカバ)飛散予測 第5報」を発表。九州から東北の広範囲でスギ花粉のピークを迎えています。ヒノキ花粉も九州・中国・四国の一部ではすでに飛散開始しており、3月下旬から4月中旬にかけて各地でピークが続くでしょう。今年は飛散量が多いため、ピークが過ぎても油断禁物。いつまで警戒が必要?
●スギ・ヒノキ花粉の飛散状況
スギ花粉は、九州から東北までの広範囲で飛散開始しています(3月14日時点)。主な地点の飛散開始日は、福岡で2月10日、東京で2月11日、名古屋と大阪で2月18日、仙台では2月28日となっています。また、ヒノキ花粉は、3月1日に山口、3日に佐賀、9日に広島、11日に高松で観測され、九州・中国・四国地方の一部ではすでに飛散が始まっています。スギ、ヒノキともに飛散開始が遅かった2022年に比べると、10日から2週間ほど早い飛散開始となっています。
3月に入り、先週末にかけて全国的に平年より気温が高い日が続きました。また、晴れて空気が乾燥した日が多くなったため、花粉が飛散しやすい条件が揃いました。
●各地のピーク予測
九州から東北の広範囲でスギ花粉のピークを迎えています(※)。東京では2月28日からの3日連続で500個/㎠以上のスギ花粉を観測し、飛散のピークに入っています。また、東北でも大量飛散が確認されており、8日には福島、仙台で約800個~1000個/㎠を記録しました。この先も最高気温が平年より高い日が続く見込みで、花粉症の方にとってはつらい日々が続くでしょう。なお、九州では2月中旬から始まっているピークが、終盤に差し掛かっているとみられています。
西日本のエリアでは、まもなくスギ花粉のピークは終了する見込みですが、今年は飛散量が多いため、ピークが過ぎても油断はできません。ヒノキ花粉も九州・中国・四国の一部ではすでに飛散開始しており、3月下旬から4月中旬にかけて各地でピークが続くでしょう。東日本では、3月いっぱいはスギ花粉のピークが継続し、この先も3月下旬にかけて気温が平年より高い予想のため、東京ではヒノキのピークが例年より早い3月下旬から始まる見込みとなり、3月下旬はスギ花粉とヒノキ花粉のどちらにも注意が必要です。
今シーズンの東京・大手町の飛散量の様子を過去2年と比較したところ、今シーズンの飛散開始日は、2022年に比べると2週間早くなりました。2022年は飛散開始が遅かったものの、その後ピークまでの立ち上がりが早かったのが特徴です。一方で、今シーズンは2月末から3月頭にかけて、急激な大量飛散となったことで、3月9日時点で2021年、2022年のスギの総飛散量を超えています。
※スギ花粉のピーク定義:50個以上/㎠が2日連続した初日がピーク開始日
●日本気象協会の花粉観測方法
「ダーラム法」という観測方法で、スギ・ヒノキ花粉を見分けながら個数をカウントしています。
① 風通しが良く、雨に濡れない屋外に設置した機器にワセリンを塗ったスライドガラスを24時間、据え置く。※この手順によって、飛散している花粉がスライドガラスに付着します。
(日本気象協会の観測地点の一部ではスライドガラスが24時間ごとに自動的に次のスライドガラスに切り替わる専用装置を独自で開発し、1週間分を観測しています)
② 24時間後、屋外に設置した①のスライドガラスを回収。染色液をかけ、カバーガラスをかぶせる。
③ 顕微鏡を通して測定開始。カバーガラスの中に花粉がいくつあるか、カウンターを使って「目視で」数える。日本気象協会では2019年シーズンよりモニターを導入し、顕微鏡と接続することで、花粉の画像をモニターに映し出し、操作しながらモニターに表示された花粉をカウンターで数える。
④ ③で計測されたカバーガラスの中の花粉の数を、1 cm2あたりの数に換算し花粉量を出す。そして、換算した1cm2あたりの花粉量を1日の花粉数として記録。
●日本気象協会の花粉飛散予測とは
日本気象協会は1990年からスギ花粉の飛散予測を発表しています。日本気象協会の花粉飛散予測は、前シーズンの花粉飛散結果や今後の気温予測などの気象データをもとに、全国各地の花粉研究会や協力機関からの情報、花芽の現地調査の結果などをふまえて予測しています。