春先にかけてラニーニャ現象発生時の特徴が顕著で、日本に西から寒気が流れ込みやすいでしょう。スギ花粉の飛散は、2月下旬から3月にピークになる見込みです。
●ラニーニャ現象発生時の特徴 顕著に
25日、気象庁は3か月予報を発表しました。
ラニーニャ現象は12月の実況でも続いているとみられ、冬の終わりまで続く可能性が高く、春の間に終息し平常状態になる可能性が高くなっています。
ラニーニャ現象は、太平洋の熱帯域で、東部で冷たい水の湧き上がりが平常時より強く、海面水温が平常時より低くなっています。一方、西部には暖かい海水がより厚く蓄積します。この影響で、ラニーニャ現象発生時は、インドネシア付近で、対流活動が活発になり、上空を流れる偏西風がインドやチベット付近で北へ蛇行し、日本付近で南へ蛇行するという特徴があります。このため、日本に西から寒気が流れ込みやすくなります。
この冬、これまで、この特徴は顕著ではありませんでした。
今のところの資料では、2月は、インドネシア付近で対流活動が活発になるでしょう。偏西風は日本付近で南へ蛇行する見込みです。このラニーニャ現象発生時の特徴は、3月にかけて続くでしょう。
もう一つ、ラニーニャ現象発生時に現れやすいパターンとして、日付変更線付近で気圧が高く、北米北西部で気圧が低く、北米南西部で気圧が高くなることがあります。このパターンが出現すると、アリューシャン付近で低気圧が発達しにくく、北日本では冬型の気圧配置が弱いという特徴があります。この冬、このパターンは、1月中旬頃から見られなくなりましたが、2月から4月にかけて出現しそうです。
ラニーニャ現象とは別に、2月から4月にかけて、北極付近では気圧が低く、その周りでは気圧が高い見込みです。大気は気圧が高い方から低い方に流れやすいため、寒気は、日本付近に北からは流れ込みにくいでしょう。一方で、中国大陸の華中、華南ではシベリア高気圧の勢力が強く、沖縄や奄美、九州など、西からは寒気が流れ込みやすい見込みです。
●2月~3月 天候の特徴 平年並みでも寒い時期あり
2月は、平均気温は、沖縄・奄美、九州から近畿は、平年並みか低いでしょう。北陸、東海から北海道は、ほぼ平年並みの見込みです。
沖縄・奄美は、平年と同様に曇りや雨の日が多いでしょう。九州から北海道の日本海側は、平年と同様に曇りや雪、雨の日が多い見込みです。太平洋側は、平年と同様に晴れの日が多いでしょう。
3月は、平均気温は、沖縄・奄美は、平年並みか低いでしょう。九州から近畿は、ほぼ平年並みの見込みです。期間を通しては、ほぼ平年並みですが、寒気の影響を受ける時期があり、まだ寒い日がありそうです。北陸、東海、関東は、平年並みか高い見込みです。東北や北海道は、平年より高いでしょう。
沖縄・奄美は、平年と同様に曇りや雨の日が多い見込みです。九州から関東は、天気は数日の周期で変わり、太平洋側は平年と同様に晴れの日が多いでしょう。北陸、東北や北海道の日本海側は、平年に比べて、曇りや雪、雨の日が少ない見込みです。東北と北海道の太平洋側は、平年と同様に晴れの日が多いでしょう。
4月は、平均気温は、沖縄・奄美、九州から関東は、ほぼ平年並みの見込みです。ただ、沖縄・奄美、九州南部などでは、一時的に寒くなることがありそうです。東北や北海道は、平年並みか高いでしょう。
全国的に、天気は数日の周期で変わり、九州から近畿、東海、関東と、東北や北海道の太平洋側では、平年と同様に晴れる日が多いでしょう。
●トンガの海底火山噴火 予報への考慮は
NASAによると、15日にトンガ付近で発生した大規模な海底火山の噴火では、成層圏に火山性物質を放出するのに十分な威力があったとのことです。
火山性物質が成層圏に大量に放出されると、地球の気温を下げる効果が知られています。これは、成層圏は比較的乾燥していることなどにより、火山性物質は、対流圏に留まるより、はるかに長く、広範囲に影響を及ぼすためです。
ただ、衛星観測によると、二酸化硫黄が大気圏の上層に約0.4テラグラム放出されましたが、気候への影響の最小の値は約5テラグラムであることから、今回の予報への影響は考えられていません。
対流圏と成層圏:大気は地表面に近い層から暖められ、上層と下層の大気の交換すなわち対流が起こります。対流が活発で、上空ほど気温が低下する地上から高さ10~16kmまでの大気の層は、対流圏と呼ばれています。雲や降水などの天気現象は対流圏で起こります。対流圏より上では、上空に向かって気温の低下率が小さいか、 逆に気温が上昇するようになります。このような気温分布の大気 では、対流が起こりにくく成層圏と呼ばれています。
●花粉シーズンへ
スギ花粉の飛散開始は、九州から東北まで例年並みでしょう。2月上旬に九州や四国、中国、東海、関東の一部から花粉シーズンがスタートする見込みです。
スギ花粉は、飛散開始と認められる前からわずかな量が飛び始めます。2月上旬に飛散開始が予測される地域では、1月のうちから早めに花粉対策を始めるとよいでしょう。
飛散開始日とは、1平方センチメートルあたり1個以上のスギ花粉を、2日連続して観測した場合の最初の日です。
●北・東日本 スギ・ヒノキ花粉のピーク予測