
<DeNA2-3阪神>◇26日◇横浜
あと1人から起死回生だ!! 阪神大山悠輔内野手(30)が土壇場で逆転8号2ランを放ち、優勝へのマジックナンバーを14に減らした。8回までDeNAケイらに1安打に抑えられ、敗色濃厚だった0-2の9回。中野、森下の連打と佐藤輝の犠飛で1点を返した2死一塁で、5番が守護神入江から右越えに運んだ。両リーグ最速で70勝に到達し、貯金を最多28に増やして2位巨人とのゲーム差を最大の14に拡大。9月3日の最短優勝へ一気に突っ走る勢いだ。
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大山の表情がみるみる崩れていく。ベンチでは村上が両手を上げてバンザイ、佐藤輝がこぶしをグッと握った。手荒い祝福をうれしそうに受け入れた。こんな気持ちいいセレブレーションは久しぶりだ。
「次につなぐという意識が、いい結果になってよかったです。打球の方向はもうどこでもいいです。バットが折れた一打であろうが、芯に当たった一打だろうが、最終的に勝つこと。それが一番大事ですから」
鮮やかなうっちゃりだ。8回までわずか1安打。二塁すら踏めず、ケイの前に完全にお手上げ状態。0封負けか…。だが、抑えの入江に牙をむく。中野と森下の連打から佐藤輝が中犠飛。そして大山が初球の154キロを右翼席にたたき込んだ。8号の逆転2ランでDeNAを沈めた。大山は12度目の勝利打点。1位森下、2位佐藤輝に続く3位で、虎の主軸トリオが上位を独占。ここぞの場面でパワーがみなぎるバットマンたちが阪神を引っ張る。
成績は後輩2人が上だが大山がチームの「柱」なのは疑いようがない。藤本総合コーチは「何においても隙がない。全力で走る。毎試合出ているのに、守備でも絶対気を抜かない。そういう背中をみんなに見せてくれている」と絶賛する。
その分、心身の疲れは蓄積していく。1年間戦い抜くための決めごとがある。「甲子園の場合なら、車に乗っている間にその日の反省をして、考えをまとめる。家の玄関のドアを開ける時には『家の時間』になるように。それがやっとできるようになってきました」。切り替えを重視して、充実のシーズンを送る。
「びっくりするようなゲームになりましたね」と藤川監督も開口一番、目を丸くした。歓喜のゴールまでのカウントダウンはどんどん進む。優勝マジックは一気に2減って「14」だ。
劣勢を覆しての“劇勝”だった。大山が言う。「なかなか難しい展開でしたけど、あそこまで(接戦で)いけたのは村上も含め、全員で粘った結果だと思う。最終回もみんながつないで、つないで来てくれたので…その意味ではすごくよかった」と、うなずいた。充実感たっぷりの横浜の夜になった。【柏原誠】