
<日本ハム1-0ソフトバンク>◇24日◇エスコンフィールド
2位日本ハムが首位ソフトバンクとの直接対決で3連勝し、0・5ゲーム差に肉薄した。延長戦にもつれた白熱の一戦を今季8度目のサヨナラ勝利で制し、貯金は今季最多の「26」となった。これで新庄剛志監督(53)は就任4年目で、通算成績が初めて勝率5割に到達。トライアウトから始まったチーム再建は、驚異のV字回復で成功を証明。あとは逆転Vというゴールへ向かって“愉しく”大航海を続けていく。
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新庄監督も興奮した。延長10回1死満塁。9回から守備固めで出場していた奈良間が中前へプロ初のサヨナラ打。ベンチを飛び出し、ヒーローを抱き締めた指揮官は「守備固めもすごい大事な役割ですけど、やっぱりスタメンで出たいと思う。この一打は6000点満点ぐらいのアピールポイント」と絶賛した。
実は“新庄スペシャル”を繰り出すことも考えていた。「スクイズの頭は少しあった」と思案したが、ネクストバッターズサークルには4番がいた。「これはレイエスに失礼かな」。仮に奈良間が倒れても頼もしい助っ人がいる。だから「打て」のサインで劇的勝利をつかみ取った。
執念采配もあった。22年はともに戦い、実力の高さを知る3番近藤に対して3度も申告敬遠。「(4番の)山川くんに、おいしいチャンスを与えただけです」と冗談めかしながらも「(近藤は)いいバッター。これはもう作戦なんでね」。1試合で同じ打者に3度の敬遠は球団史上初の“徹底マーク”で、得点を許さなかった。
見事なリベンジだった。9日からの敵地でのソフトバンク戦は3タテを食らっていた。「前回の3連敗の借りを、きっちりエスコンで選手たちが返してくれましたね。感謝しかない」。1つでも負ければ優勝マジック点灯を許す勝負どころで、就任から4年間でチームに植え付けた、しびれる場面こそ“愉しむ”マインドで全て勝ちきった。
これで新庄監督の通算成績も最初の2年間で背負った「借金41」を、結果が出始めた昨季と今季で完済した。そんなデータは「まったく興味ない」と一蹴しつつも、本音を吐露した。
新庄監督 1、2年目はトライアウトでしょ。成績に入れないでください…育成期間なんで。僕がファイターズの監督になった瞬間の計画は…(優勝は)3年目が一番よかったですけど。ちょっとしくじって、僕の勉強不足で。それで去年は「まぐれ」って言われて、まぐれじゃなかったことを今、証明している。あとはゴールに向かって、みんなで“愉しく”ね。
首位とは0・5差。チームスローガン「大航海は続く」の歓喜の終着点へ、突き進んでいくだけだ。【木下大輔】