
<レイズ0-3ドジャース>◇3日(日本時間4日)◇ジョージ・スタインブレナー・フィールド
【タンパ(米フロリダ州)3日(日本時間4日)=四竈衛】ドジャース山本由伸投手(26)がレイズ戦に先発し、6回途中5安打無失点無四球6奪三振と力投。今季10勝目(7敗)を挙げた。最高気温34度の酷暑の中、速球を主体に得点を許さず、2年目で初の2桁勝利に乗せた。「1番DH」で出場した大谷翔平投手(31)は、2安打2四球と4回出塁し、重盗を含む今季初の2盗塁。貴重な追加点につなげた。
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CM出演する栄養ドリンクを毎日欠かさない山本でも、南国タンパの酷暑は強敵だった。最高気温34度、湿度66%。肌を刺すような強烈な日差しが容赦なく照りつける中、6回1死から一ゴロの際、全速力でベースカバーに入った。
直前の5回、同じようなゴロの際、途中でスピードを緩め、内野安打になったこともあり、2度目は猛ダッシュでアウトに仕留めた。だが、呼吸が乱れたまま投げたせいか、続く金河成には2ボールと制球も乱れた末に左前打。ベンチから出て来たロバーツ監督に、納得の表情でボールを手渡した。
相手だけでなく、暑さにも負けなかった。「汗の量がいつもと違った」。イニング間には、夏でも着続ける長袖のアンダーシャツを何度となく着替えた。「投げるたびに、ズレたり、重くなったりしたので」。同地入り後は、気候に順応するうえでも、意図的にグラウンドで汗を流し、湿った空気を体になじませた。通常のルーティンが終わっても、夏休み中で同行している球団スタッフの子供達とキャッチボールで遊んだ。
「(クラブハウスの)中は冷房がすごく効いているので。暑い中で体を動かしてどんな感覚なのかなと、確かめながらというのはありました」
神経質になり過ぎるのではなく、感覚重視の山本らしく、ごく自然に暑さ対策を進めた。
その結果、調子は上々だった。最速97・1マイル(約156キロ)を計測した速球が40%と、力勝負を挑んだ。ストライク率70%と、ムダ球も減らした。「2軍でやってた時とかデーゲームは多かったですし、高校野球とか思い出しました」。
公式戦2カ月を残して初の2桁勝利に到達した。「こういう中で投げられたのは自信のひとつになった。しっかりリカバリーして次に備えたいと思います」。汗が収まった試合後、ド軍の若きエースは、疲労感をのぞかせることなく、涼しい顔で笑った。