
<高校野球西東京大会:日大三8-4東海大菅生>◇29日◇決勝◇神宮
傷一つつかなかった鉄壁の防御がついに、崩れた。準決勝まで5試合連続無失点で3年ぶりに決勝進出した東海大菅生だが、4年ぶりの栄冠の夢は日大三の強打によって打ち砕かれた。
チーム38イニング連続無失点を続けてきた中、エース上原慎之輔投手(3年)が捕まった。3回2死から2連打を浴びた二、三塁。カウント1-2からの得意球スクリューボールを日大三・本間に中前へ運ばれ、2点先制を許した。
3連続先発による疲労感やプレッシャーはなく、「全然気にしなかった」。しかし、1点リードの5回1死、またも2連打で一、二塁のピンチを招くと、再び本間にスライダーを左方向にはじかれ、逆転の2点適時二塁打を浴びた。
「甘いところを1球で仕留めてくるところだったり、追い込まれてからも粘ってくる。投げづらかった」。チームは徐々に「強打の三高」にのまれていった。
本間に打たれたシーンはいずれも2ストライクと追い込んでいた。しかし、若林弘泰監督(59)は「追い込んでからの甘いボールは上原の課題だった。最後の最後に来て克服させてあげられなかった」とかばう。
2年前の春、入寮したばかりの上原や主将の前田蓮内野手(3年)らはミーティング室のテレビで当時センバツ出場した先輩の試合を観戦した。「甲子園いきたいね」と言う前田に、上原も「自分たちが引っ張っていこう」と応えていた。
しかし、昨年の秋季東京大会は1回戦敗退。「寝言は寝て言え」と指揮官から厳しい言葉を浴びせられた。そこから冬場の厳しい鍛錬を乗り越え、春季東京大会では準優勝。第1シードで夏の西東京大会に挑んでいた。
投打で隙のないチームも、4年ぶりの栄冠まではあと1つ及ばなかった。「この悔しい思いを生かして次にやっていってほしい」。キャプテンはそう後輩に思いを託した。【泉光太郎】