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渡辺哲ひとり芝居「カクエイはかく語りき」で田中角栄演じる「真紀子さんと2人で見たモナリザ」


照れながらポーズをしてくれた渡辺哲(撮影・小島史椰)

俳優渡辺哲(75)がひとり芝居「カクエイはかく語りき」(8月23、24日に新潟・柏崎市文化会館、9月9~15日に東京・下北沢ザ・スズナリ)を上演する。今太閤と呼ばれ国民的人気を博しながら、ロッキード事件で刑事被告人となり、1993年(平5)に75歳で亡くなった田中角栄元総理の生きざまを演じる。2018年(平30)の上演作に角栄元総理が亡くなった75歳になって、7年ぶりに挑む心境を聞いてみた。【取材・構成=小谷野俊哉】

   ◇   ◇   ◇

1947年(昭22)4月の第23回衆議院選挙で田中角栄は28歳で初当選する。そこから93年(平5)12月に75歳で亡くなるまでを演じる。

「冒頭は初当選をする前の東京の話ですね。そこから始まって、今回は最終的に死ぬところまでやります」

85年2月、角栄は脳梗塞で倒れる。言語障害が残り、体が不自由になって政治活動が不可能になる。娘の田中真紀子氏は田中事務所を閉鎖して、スタッフも全て切って、それ以降はシャットアウトする。翌86年の衆院議員選では、選挙区活動をすることなくトップ当選するが、90年(平2)の選挙に出馬せずに当選16回、勤続43年の議員活動にピリオドを打つ。93年の選挙では、角栄の選挙区だった新潟3区から真紀子氏が立候補して初当選。角栄は不自由な体で選挙区入りして応援する。

「聞いた話ですけど、慶応大学の病院に入院していた頃に中国から30人くらいの医療団が来たそうなんですよ。なんといっても、角栄さんは(72年の)日中国交正常化の立役者ですからね。だけど、その派遣を真紀子さんが拒否したらしいんです。それは辻和子さんていう神楽坂の芸者さんとの間に生まれた、息子さんが話しているらしいんですけどね。だから、真紀子さんは結局、全部オミットしたんですね。でも、それは娘さんの力、愛なんだろうねぇ」

真紀子氏は、角栄が総理在任中は病弱だった母親に代わってファーストレディーの役目を務めた。

「芝居でもちょっと出ますけども、面白いのは外遊は全部、真紀子さんを連れて行ってるんですよね。いろいろなところにファーストレディーとして真紀子さんを連れて行きながら、72年の日中国交正常化で中国の周恩来首相と毛沢東国家主席に会いに行く時には中国に連れて行かなかった。なんでかっていうと、それは初めて行くわけだし、自分がもし殺されたとしたら、真紀子さんも殺される。そういうのは田中家からしたらダメだと。だから、お前だけは残れ、役割はこれだという事をやったらしいんですよ」

翌73年のフランス行きでは、真紀子氏を同行した。

「角栄さんは翌年の9月にフランスに行って、ポンピドー大統領に会うんです。それで、ルーブル美術館にあるレオナルド・ダビンチのモナリザが、その翌年の4月に上野の東京国立博物館にやって来ることになるんです。中国に行った時は上野動物園にパンダが来たんですけどね。フランスには真紀子さんも行って、角栄さんと2人でルーブル美術館で一緒に門モナリザを見たんです。真紀子さんの本に書いてあったんですけど、せっかちで知られていた角栄さんが、娘と2人で立ち止まってモナリザをゆっくりと見たというんです。せわしない、とにかくせっかちな人だった角栄さんだけど、娘の真紀子さんと一緒の時だけははやすらいですごしたという、面白い話だよね」

(続く)

◆渡辺哲(わたなべ・てつ)1950年(昭25)3月11日、愛知県常滑市生まれ。東京工大中退。75年「劇団シェイクスピア・シアター」旗揚げに参加。85年「乱」で映画デビュー。91年(平3)に映画「アンボンで何が裁かれたか」。双子の息子は俳優本多英一郎(47)とプロレスラーのアントーニオ本多(47)。181センチ。血液型A。

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