
<高校野球大阪大会:履正社7-0阪南大高>◇24日◇準々決勝◇くら寿司スタジアム堺
阪南大高の躍進が止まった。30年ぶりに進出した準々決勝で、履正社に8回コールドで屈した。
善戦だった。エース入来雄祐(3年)が好打者ぞろいの履正社に的を絞らせず、6回まで4安打無失点。0-0で試合が進み、緊迫感が漂った。
7回に、相手の中軸に連続適時打を許して2点を先制された。ともにスライダーで会心の当たりではなかったが、野手の間に飛ばされた。このイニング、入来は配球面で迷いが生じていたという。「いろいろ考えながらやっていたが、自分を信じ切れず、それが勝敗を分けてしまった」とくちびるをかんだ。
大会前に左膝を痛めていたが、大会を通して全力投球を続けてきた。蓄積された疲れもあってか、この試合では痛みも感じていた。「言い訳にはしたくない。勝って甲子園に行きたかった。自分のせいで負けてしまった」と責任を背負い込んだ。
豊島健太監督(46)はマウンドで奮闘し続けた背番号1に目を細めていた。「成長しましたね、本当に。この夏は頼もしかったです。練習や姿勢も含めて、一生懸命やってくれた。やっと背番号1を取って、入来と心中しようというところまで来てくれましたから」と2年半の苦労を振り返って、感無量の様子だった。
阪南大高は元「大鉄」だ。福本豊、土井正博ら名選手を生んだ古豪。7度の甲子園出場で、春は準優勝に輝いたこともある。ただ、「阪南大高」になった86年以降は、甲子園出場を果たせていない。
3年生は下級生から出ている選手が多く、久しぶりに「上」を意識できた代だった。初戦を勝ってから「決勝まで戦うぞ」と誓い合った。その目標に目前まで迫った。今回の活躍で、監督の元には多くのOBから激励の声が届いたという。
「1戦1戦、やっていくほどスタンドのお客さんが増えて、チームは強くなって。楽しかった。監督しては甲子園に連れていきたかったけど…。30年ぶりですか。みんな、胸を張ってほしいです。いい時間を過ごせました。子どもたちに感謝です」。豊島監督の声が少し震えた。