
<高校野球新潟大会:新潟産大付2-0新発田農>◇19日◇4回戦◇ハードオフエコスタジアム新潟
昨年の優勝校、新潟産大付がベスト8に名乗りを上げた。エース小平乃希(ないき)投手(3年)が新発田農に9安打されながらも要所を押さえて公式戦初完投、初完封。接戦をものにした。
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最後の打者を左飛に打ち取ると、新潟産大付・小平は右のこぶしを握り締め、何度も雄たけびを上げた。少しずれた帽子の下には笑顔がのぞく。「1年ぶりのエコスタ。勝ててうれしい」。昨夏の準々決勝、チームは日本文理に3-2で逆転勝ちしたが、小平はベンチだった。今年は堂々と試合を仕切った。
毎回走者を背負った。5、9回以外は安打を許し、計9安打を浴びた。気が緩む場面は1度もなかった。ただ、緊張の連続がプラスに働く。「とにかく気持ち。丁寧にスライダーを投げた」と外の低めにウイニングショット。5回裏1死一塁、6回裏無死一塁といずれも併殺で切り抜ける。
4回表無死二、三塁で自身の遊ゴロが失策を誘って先制した2点を、粘り強く守った。この日の新潟市の最高気温は34度。「もともと足がつりやすい」と、試合中も熱さ対策を忘れなかった。ベンチではスパイク、ソックスを脱いで熱をさました。マウンドを降りている間も隙を見せなかった。
昨夏は甲子園でもベンチ入りした。「また甲子園に戻りたいという気持ちが強い子」と吉野公浩監督(58)は言う。春季県大会の1回戦で上越に2-3で敗退後、スクワットを日課にして下半身を強化した。「その成果が最後まで投げられた」と自身の初完投、そして無失点で終えたことに胸を張る。
大会屈指の好投手、新発田農のエース遠山剣臣(3年)に投げ勝った。「この試合は遠山君だけじゃない、というところみせたかった」。そんな負けん気も好投の原動力。連覇へ難関はまだ続く。「投げ負けてしまうと甲子園が遠ざかる。次ぎも自分が全部投げる」。好投手がそろう準々決勝の北越戦に弾みがついた。
◆小平乃希(こだいら・ないき)2008年(平20)1月7日生まれ、上越市出身。上雲寺小5年から野球を始める。雄志中では新潟県選抜入り。新潟産大付では1年春からベンチ入りし、昨秋から背番号1。175センチ、75キロ。右投げ右打ち。