
<真夏のライラック:市西宮・阪下颯那捕手(3年)>
<高校野球兵庫大会:東播磨3-2市西宮>◇16日◇3回戦◇高砂球場
市西宮・阪下颯那(せな)捕手(3年)
高校最後の夏に「いとこ対決」はならなかった。逆転負けで3回戦敗退。「悔しかった」と涙したのも一瞬。「ベストゲームでやることをやって負けた。やりきった」と前を向いた。
今春センバツに出場した東洋大姫路の阪下漣投手(3年)はいとこ。颯那の父・卓さん(51)の弟が漣の父親で、幼少期から一緒にプロ野球を見に行くなど仲良し。小学校は別のチームだったが、同じグラウンドで練習し、何度もキャチボールをした。小学生時代は直接対決もあり、颯那は漣から安打も放っていた。
互いに兵庫の別の高校に進学。颯那にとって漣は身近なライバルで「あのピッチャーに勝たないと甲子園に行けないと感化させてくれた」と奮い立たせてくれる存在だった。
今年の正月に顔を合わせ「対戦しよう」と約束。今大会中も「頑張れよ」と連絡を取り合った。漣は右肘故障からメンバー復帰したばかりだったが、「市西宮と対戦するときは無理してでも投げたい」と熱望。ただ、かなわぬ夢となった。
颯那の甲子園出場の夢は漣にたくす形となった。「漣の存在があったから頑張ってこれた。本当に感謝しています。優勝して甲子園で目立ってほしい。漣の甲子園にいる姿を見たい」。阪下家の挑戦はまだ続く。【林亮佑】