
<真夏のライラック:上水・八重樫頼斗内野手(3年)、八重樫聖良外野手(1年)>
<高校野球西東京大会:田無7-2上水>◇14日◇3回戦◇ジャイアンツタウンスタジアム
兄弟で挑んだ最初で最後の夏を憧れの舞台で飾った。
上水の兄八重樫頼斗内野手(3年)と弟聖良外野手(1年)。「まさか上水に来て、大好きな弟がここまで一緒に野球をやってきてくれてうれしかった」。そう言って大粒の涙を流す遊撃頼斗に、左翼聖良も「一度も(兄と)一緒に試合に出ることができなくて、上水高校に入るのが夢だった」と声をぬらした。
2人の見せ場があった。6点を追う8回、先頭9番聖良の右前打から無死一、二塁。2番頼斗が捕ゴロの進塁打で1死二、三塁に広げ、次打者の左犠飛で1点を返した。
小学2年から頼斗が野球を始めると、聖良も小学校に入る前から白球を追った。中学も軟式野球部で一緒に汗を流したが、そろって公式戦に出たことはなかった。弟は猛勉強の末、兄がいる上水に合格。6日の青鳥特別支援との初戦で、ついに初共演を果たした。
この日は兄弟とも大ファンの巨人の2軍施設「ジャイアンツタウンスタジアム」でそろってスタメン出場。闘病中の父学さん(48)も駆けつけた。2人の勇姿に、学さんは「子どもたちの全力プレーを見ると親として元気をもらえる」。八重樫家にとって「宝物」の夏となった。【泉光太郎】