
<高校野球宮城大会:東北学院榴ケ岡13-1名取・仙台工>◇13日◇1回戦◇楽天イーグルス利府球場
宮城大会では昨秋3位の東北学院榴ケ岡が、名取・仙台工連合に13-1で7回コールド勝ち。先発の伊藤泰雅投手(2年)が5回無失点で流れを引き寄せた。
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泣き虫ヒーローの誕生だ。東北学院榴ケ岡の伊藤は、2年生で唯一のスタメン。「正直、プレッシャーも感じました」と話すも、それ以上の思いを抱えていた。「3年生にはたくさんお世話になったので、恩返ししたい思いの方が強いです」。これまで、ともに過ごした先輩らとの思い出を胸に刻み、5回7奪三振無失点で勝利に導いた。
今春はエース佐々木健斗のけがにより、背番号「1」を背負った。全3試合に登板したが、地区大会敗退。計15回を投げ、8四死球と、課題は明白だった。その後、練習内で行われた紅白戦でも、制球難に苦しみ、四死球や暴投が目立った。「春から何1つ、変わっていない」。悔しさと情けなさに涙があふれた。それでも「泣いている場合じゃない」。仲間や指導者陣の励ましに目が覚めた。
これ以上、悔し涙を流さないために、課題に向き合った。クイック投球時に制球が乱れることから、上半身のフォームを見直した。この日も2四死球と反省は残るも、着実に手応えを感じている。
さらに、自慢の直球も光った。普段は5球種を操る伊藤。週初めには肩に違和感を感じ、調整していたが、直球は好感触だった。2日前に本調子に戻るも「直球で勝負しよう」。これが功を奏した。「甲子園を目指してやってきたので、3年生に恩返しするためにも、1勝ずつ積み重ねていきたいです」。この夏は悔し涙をうれし涙に変える。【木村有優】