
<高校野球東東京大会:関東第一8-1武蔵丘>◇13日◇2回戦◇大田スタジアム
昨夏の覇者・関東第一が白星発進した。武蔵丘との初戦を8-0の7回コールドで制し、ノーシードながらも地力を示した。
4番で主将の越後駿祐遊撃手(3年)は「まずはホッとしたという気持ちが一番。初戦の緊張もあり、動き切れないところもあったけど、しっかり勝ち切れたのはよかった」と振り返る。試合では相手左腕のチェンジアップやツーシームに手を焼き、「フライアウトが多かった」と課題も挙げた。
そんな中、勝負を決定づけたのは5回。1死二塁の場面で、前打者の3番坂本慎太郎外野手(3年)が敬遠されて迎えた打席。「自分がかえそうという強い気持ちで打席に入りました」と、外角直球を逆らわずに右前へ運び追加点を挙げた。ここからチームは5連打で一挙7得点。7回コールドへと導いた。「監督から『コンパクトに』『低い打球を』と声をかけられて、それを意識した」と4番の役割を果たした。
チームスローガンは「絶対日本一」。昨夏の甲子園準優勝という悔しさを胸に、新チーム発足時に全員で決めた合言葉だ。だが、その道のりは順調ではなかった。昨秋は3回戦で帝京に2-3、今春は初戦で東亜学園に4-5と敗退を喫した。チームは大きく入れ替わり、勝てない日々が続いた。
越後は「去年の3年生は本当にすごかった。今年は今年で、自分たちの代でしっかり結果を出したい思いは強い。春の敗戦をきっかけに、生活も練習も180度変えました。掃除も寮生活も、手を抜かず、最後までやり切ることを大事にしています」と言い切った。
米沢貴光監督(49)も、そんな変化を見守ってきた。「公式戦の経験が少なくて、苦労したチーム。この夏は失敗してもいいから、自分たちの野球をやり切ろうと伝えている」と話した。越後、坂本の2人に打線が依存しすぎている現状についても、「負担は大きいが、今のチームに必要な形。彼らが軸になりながら、下位からも得点できるチームをつくっていきたい」と上を見据えた。
学校創立100周年の記念イヤー。現時点でプロ志望届けを提出する予定の選手はいないという。全員野球で、再び聖地・甲子園を目指す夏が始まった。