
<高校野球新潟大会:帝京長岡7-0高田北城>◇11日◇2回戦◇長岡市悠久山野球場
新発田が新潟工に5-3で競り勝った。7回表の新潟工の攻撃中に停電で20分間の中断があった後に流れをつかみ、3-3の8回裏1死三塁から途中出場の9番清野暖大(はると)二塁手(2年)の左前適時打で勝ち越した。帝京長岡は高田北城に7-0で8回コールド勝ち。公式戦初登板初先発の中田凰太投手(3年)が8回を4安打に抑えて零封した。
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帝京長岡の秘密兵器がベールを脱いだ。中田は「最後まで気を抜かなかった」と無表情のまま8回を投げ抜いた。1回裏に先頭から内野安打2本を許すが、落ちついて封殺と併殺で切り抜ける。2回以降は先頭打者を出さず、101球を投げて無失点。最後の打者を中飛に打ち取ったとき「ホッとした」とようやく緊張を解いた。
芝草宇宙監督(55)が「直球の質がいい。大崩れしない」と言うように、手元で伸びる130キロ台後半の直球にスライダー、チェンジアップを巧みに投げわけた。先発は前日10日に告げられた。「少し緊張した」と言うが、マウンドではそんな素振りはみせない。本来は内野手で、昨秋の北信越大会の敦賀気比戦では三塁手で先発した。冬場に兼任で投手の練習を始めた。内野手として培った俊敏性が投球にも生きる。「クイックがスムーズにできる」と、この日は相手に盗塁を仕掛ける隙を与えなかった。
投手経験は東野小(埼玉)の高学年時にあるだけで、中学以降は内野1本だった。冬場はチームの投手陣にアドバイスを受けながら、マウンドさばきや心構えを学んだ。自主トレでは体の切れを出すために50メートルダッシュを20本繰り返した。
「なんとか夏のベンチに入りたかった」と努力を積み重ねた。大会前の金沢(石川)との練習試合で7回1失点と好投するなど、急成長して立った初の公式戦マウンド。「次も全力で臨めるようにしたい」と勝利とともに自信を手にした。【斎藤慎一郎】
◆中田凰太(なかた・おうた)2007年(平19)10月22日生まれ、埼玉県出身。東野小1年から野球を始める。新座第二中では少年硬式野球の浦和シニアに所属。帝京長岡に進学し、1年秋に初めてベンチ入り。170センチ、66キロ。右投げ両打ち。