
<高校野球神奈川大会:桐光学園12-0戸塚>◇10日◇1回戦◇横浜
今大会で勇退する桐光学園(神奈川)の野呂雅之監督(64)が、最後の夏を戸塚に12-0の7回コールド勝ちで好発進した。試合後、横浜スタジアムに流れる校歌に耳を傾け、スタンドを見渡した。「感慨深いものがある。神奈川の学生、野球人にとって横浜スタジアムは、甲子園とはまた違う聖地みたいなものだから」。
最後の夏も「いつも通り」を貫いた。「選手には目いっぱい緊張しろって言うんだけどね。僕は全然緊張はない。昨日も5分で眠りました(笑い)」と、気負いはない。それでも2回には、右越え先制本塁打の加賀滉太投手(3年)をベンチに迎え入れた際、右手で小さくガッツポーズを見せた。
教え子の成長が何よりの楽しみだ。先発加賀は「いつも『気持ちで投げろ。真っすぐだ』と、言われ続けてきた」と、自信のある真っすぐを投げ込み、7回2安打無失点。2回には先制の右越えソロ本塁打で打線に火をつけた。野呂監督は「このチームは試合を経験することで成長している」と目を細めた。後半には点差が開いてもなお、つなぎの野球で得点を重ね、細かい攻撃を得意とするのが桐光学園の野球。加賀は「監督が約40年間やってきて今年は節目の年。自分たちにとっても最後の年。監督と一緒に甲子園を目指します」と誓った。