
<高校野球西東京大会:三鷹中等10-3田無工科>◇10日◇2回戦◇ジャイアンツタウンスタジアム
ベースボールの本場、米国で白球を追った二刀流右腕が新チーム以降、初の公式戦勝利を呼び込んだ。三鷹中等で「4番・エース」を張る主将の宮岡誠一郎投手(3年)は身長180センチ、体重82キロの大器を生かし、投打で存在感を示した。
秋以降、チームは公式戦未勝利だった。重要な夏の初戦を託された背番号1は「正直、真っすぐが走っていなかった」とつぶやく。変化球中心の配球で攻めたが、スライダーを田無工科打線に合わせられ、2回まで3長打3失点。しかし、自らのバットや仲間の援護で同点に追いついた3回以降は「真っすぐで押して行こう」と切り替え、最速125キロの直球で押した。
6回2死には「捕手の森(翔真)に『落ちない』といじられる」と言うフォークも決まり、2者連続三振。無四死球の制球力で3回以降は無失点だった。
打っても2安打4打点。4点リードの6回1死三塁からは変則右腕のカーブを捉え、右中間を豪快に破る適時三塁打を放った。「自分は4番なのでいるランナーは返す意識だった」。
研究職の父の関係で、4歳から8歳まで米サンフランシスコで過ごした。中学3年時には英検1級を取得するほど語学堪能だ。米国では夏場は野球、冬場はサッカーやバスケットボールに励んだ。
スケールは劣るかもしれないが、恵まれた体格と文武両道に熱心な姿は今春に桐朋(西東京)からアスレチックスに入団した森井翔太郎投手兼内野手(18)と重なる。宮岡も「大学で野球をやりたいので、一応、東大を勉強で目指している」と高い志を掲げるが、今は最後の夏で頭がいっぱい。「負けてしまったら(高校野球は)引退なので、次も勝てるように準備したい」と先を見据えた。【泉光太郎】