
<高校野球福岡大会:豊国学園7-3近大福岡>◇10日◇2回戦◇北九州
昨夏の福岡4強の近大福岡が、初戦で敗れた。
豊国学園に初回、先発の浦田瑛太(2年)が4安打と打ち込まれて3点を先制された。4点差まで開いたが、近大福岡は4回裏に1点差まで詰め寄った。しかし終盤に突き放されて、勝利に届かなかった。
厳しい道のりだった。今年3月、遠征中に一部の部員による飲酒・喫煙などの不祥事が発覚。春季県大会を辞退し、高野連からは対外試合1カ月禁止の措置。練習活動の自粛は2週間も、チーム作りの影響は否定できない。
肘井利一監督(55)は「力を発揮させられなかった。これは指導の甘さ」と責任を負った。最後の打者となった辰嶋開主将(3年)は「チームの中でやってやる思いはあったが、プレーの中で発揮できなかった」と目を赤く染めた。
肘井監督によると、不祥事発覚後に再発防止のプログラムを作成。「人格形成においては時間をさいてきました」と明かす。
辰嶋主将は「ああいうことがあって、この経験を強みにしていこうと思った」。チームの中で話し合った。昨夏は準決勝で甲子園に進んだ西日本短大付に1点差の惜敗。そのメンバーが多く残り、「昨年以上の結果、高み」を合言葉に進んできたという。
辰嶋主将の「いろいろあったから結果を出したかった」という思いはかなわず。しかし、全力プレーで最後まで戦い抜いた。「次の世代は自分らがした大変な思いを見てくれたと思う。そして夏の初戦に負けた悔しさも味わった。これをバネにやってくれます」。辰嶋主将は思いを次世代に託した。