
<高校野球福岡大会:福岡工3-2筑紫丘>◇9日◇2回戦◇久留米
甲子園春夏通算9回出場の福岡工が酷暑の戦いをサヨナラ勝ちで制した。
初回に筑紫丘先発の岡本翔(2年)が乱調で5四球で2点を先制した。しかしその後は復調した岡本投手から追加点を奪えず、6回裏無死満塁も2番手林凜太朗(2年)に無得点に抑えられた。
いやな流れを安打されながら必死に耐えていた福岡工のエースで4番の松尾航輝(3年)だったが、8回に追いつかれる。しかし9回裏2死二塁、「自分が絶対に決めます」と松尾に誓って打席に立った3番の川崎哲平外野手(2年)が左前に運び、劇的なサヨナラ勝ちで初戦を飾った。
松尾は137球の熱投。8回終わりに森山博志監督から「代わるか」と打診されたが、「行かせてください」と直訴した。
福岡県でも内陸部の久留米は全国でも有数の“酷暑の町”。この試合でも足をつる選手が続出し、治療のため何度も試合が中断。松尾もマウンドで足がつったしぐさを見せ、審判の指示で給水した。指揮官が「スタミナがある松尾のあんな姿は初めて」と言うほど、過酷な戦いだった。
松尾は「きつかったけど勝ったことがすべて」と笑顔で振り返った。酷暑の戦いの直後はゲリラ雷雨。そんな激しい夏で、1958年(昭33)春以来遠ざかっている甲子園への道を歩み出した。