
<ロッテ4-5日本ハム>◇8日◇ZOZOマリン
“秘密兵器”のひと振りで、日本ハムが単独首位をキープした。延長11回2死一、二塁で、代打アリエル・マルティネス捕手(29)が決勝の右前適時打を放った。この日は最愛の妻カミラさんの25歳の誕生日。最高のバースデープレゼントとなった一打で、チームも今季3度目の4連勝。頼りになる助っ人の活躍で貯金は今季最多の「15」とした。
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自ら描いた最高のシナリオ通りだった。マルティネスに出番が回ってきたのは午後9時45分。延長11回2死一、二塁の場面だった。「皆さんご存じの通り、僕はファイターズの“秘密兵器”なので、こういうシチュエーションで出るんだなっていうのはわかってた」。カウント1ボールからの2球目。打てばヒーローに大きく近づく、この日最初の打席のファーストスイングで右前適時打を放った。
準備もしっかりできていた。6回に同点に追い付かれたときから、好機で代打起用されることを想定していた。さらに、延長11回の相手投手はロッテ益田。「対戦成績が良かったので、コーチたちも同じことは意識されてるのかなと思ったので、そこで本格的に準備し始めました」と過去2年で5打数3安打、打率6割のベテラン右腕への意識を高め、見事に結果を出した。
その裏のピンチでは、中日時代にもともに戦った山本拓が抑えてプロ初セーブをマークし、自身をヒーローとしてくれた。インタビューの最後。ファンへの思いを伝える前に「チョットマッテ」と日本語でお願いして、用意していた決めせりふを言った。
マルティネス 実は今日は僕の妻の誕生日なんです。この場をお借りして、皆さんの前でひと言、妻に言葉を送らせてください。「本当に愛しています!」。
決まった。カミラ夫人の25歳の誕生日を、最高の形で祝うことができた。「僕があげられる誕生日プレゼントで、一番いいプレゼントだったと思います」。最高で感動的なフィナーレを、格好良く締めた。
開幕直後に右前腕を痛めて離脱したが、交流戦終盤に戦列に戻り、頼りになる活躍が増えてきた。「とても苦しい期間でしたけど、その中で自分に何ができるかをあらためて考える時間になりました。よく考えられたからこそ、このタイミングでまた上に戻ってこれた。よかったと思います」。かっこいいマルティネスが、チームの首位もしっかり守ってくれた。