
<とっておきメモ>
<パドレス5-0メッツ>◇30日(日本時間31日)◇ペトコパーク
パドレスのダルビッシュ有投手(38)が、日本人選手で最多となる日米通算204勝の快挙を達成した。ナ・リーグ東地区の強豪メッツを相手に7回2安打無失点。7奪三振の力投で今季初勝利。チームを5連勝に導いた。
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日米通算21年間で204の白星を積み上げた裏に、ダルビッシュの並外れた研究心があったことは言うまでもない。プロ入り直後は「やんちゃ」なイメージがあった一方、早い時期から科学的なトレーニング、サプリメントを導入。当時はさほど知られていなかった分野にも興味を示し、周囲の批判を受けながらも技量に磨きをかけてきた。
昨季終了時には「人生で言うと死ぬ間際。だから死にたくない。なるべくもがきたい」と、ジョーク交じりに笑わせた。42歳になる28年まで契約が残っているとはいえ、トップレベルでプレーできる保証はない。だからこそ、可能な限りの時間と労力を惜しむことなく、野球に費やしてきた。若い頃には避けていたジョギングを取り入れ、昨季からは体の反応に刺激を与える目的で、基本のノックをルーティンに加えた。
「死なないために、どうやって生き延びるか」。今春のキャンプでは、体重移動のメカニズムを徹底的にチェック。若い当時と比較したうえで「筋肉を使うと限界がある」と判断し、股関節、内転筋、大腿(だいたい)筋の連動性を映像で確認しつつ、投球フォームの修正を繰り返した。
当初の予想以上に復帰までの時間を要したものの、焦りがあるとは思えない。元来、個人記録にこだわりを見せない性格。「もっと良くなる可能性はあると思います」。17年ワールドシリーズを含め、ポストシーズンには過去6回出場したものの、チャンピオンリングには届いていない。「死なないため」、そして「勝つため」に、ダルビッシュの探求は終わらない。【MLB担当 四竈衛】