
<DeNA0-3阪神>◇5日◇横浜
甘い球を逃さず振り抜いた。0-0の4回2死一、三塁。阪神熊谷敬宥内野手(29)が真ん中付近の126キロスライダーを捉え、この日花火も上がったハマの夜空へ飛ばした。「いい感じで当たったので『越えてくれ』と思いながら走っていました」。願い通りに打球は左翼フェンスに直撃。プロ初の三塁打が先制の2点適時打となった。
◇ ◇ ◇
熊谷はシミュレーションの天才だ。ここ数年はベンチを温める時間が長いが、出番は終盤のしびれる場面ばかり。そこで最大のパフォーマンスを出すために、ベンチでは人知れず試合に入り込んでいる。
「自分があの立場だったらどうするか、といつも考えています。例えば、大山さんのところで代走だったら、状況はこうで、次の守備はこうだと。1点を取りにいく時にどこで代打だろう、無死ならバント、1死だったら右打ちか? 投手は誰だ? 6番に入れば後ろは誠志郎さんか小幡か。次が投手なら配球はどうなるかな…と。そうやって考えていた方が試合に入りやすいんですよ」
サラリと言うが、頭の中は常に情報でパンパン。球団関係者は「あいつは野球小僧」「どんだけ野球好きやねん」と言うほどの観察力。当然、スタメン出場でも、ばっちり生きる。【柏原誠】