
<東北地区注目選手紹介:連載3>
第107回全国高校野球選手権大会(8月5日開幕、甲子園)出場を懸け、来週から東北各地で熱戦が繰り広げられる。東北6県版では各県の注目校や選手を紹介する。3回目は青森山田と水沢工(岩手)。ともにエースの出来が鍵を握っている。
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狙うは3度目の甲子園のマウンドだ。青森山田のエース下山大昂(だいこう)投手(3年)が、今春センバツのリベンジに燃えている。同大会では、沖縄尚学に3-6で敗れ、初戦で涙をのんだ。「この負けを決して忘れません」と甲子園を後にした。
虎谷朔ノ助、菊池統真(ともに3年)、下山によるリレーが勝利パターン。だが沖縄尚学戦では虎谷、菊池統で5回までに6失点。下山の出番は0-6の6回からだった。直球は当時の自己最速タイ、144キロを計測。変化球も織り交ぜた緩急ある投球で、被安打は内野安打のみ。さらに、7回2死満塁では、左前適時打で2点を返した。「任されたからにはピッチングだけではなく、バッティングでも引っ張っていこうと思いました」。苦手な打撃でもチームをけん引した。
1年前のミラクル勝利の再現を信じて、最後まで腕を振った。昨春センバツでは、初戦の京都国際、2回戦の広陵(広島)相手に、2試合連続サヨナラ勝ちで8強入り。ベンチ入りを逃した下山は、ボールボーイ席からその光景を目に焼き付けていた。だが、願いは届かなかった。3-6の9回2死、導かれるように下山に打席が回った。結果は中飛。「自分が打って、次につなげたかったです」と悔やんだ。
泣いても笑ってもラストチャンス。昨夏から甲子園のマウンドでは17回無失点を継続している。「ここにくると楽しんで投げることができます」。下山にとって聖地は、持っている力以上のものを発揮できる特別な場所だ。「必ず戻る」と誓い、夏に向けてひたすら走ってきた。まずは青森の頂点を取り、「日本一」への挑戦権をつかむ。【木村有優】
◆下山大昂(しもやま・だいこう)2007年(平19)5月5日生まれ、青森県出身。三輪BBCで野球を始め、五所川原第三中野球部に所属。青森山田では2年春青森大会で初のベンチ入り。最速144キロ。身長170センチ、体重81キロ。右投げ右打ち。趣味は料理。