
<西武1-2日本ハム>◇29日◇ベルーナドーム
日本ハム達孝太投手(21)が“大谷超え”だ。西武11回戦で自己最多115球を投げ、4安打1失点でプロ初完投勝利。すべて先発でのデビューから6連勝は、球団OB大谷翔平投手(ドジャース)らの5連勝を抜き、史上初の快挙となった。チームの完投投手は12球団トップの7人目。新庄剛志監督(53)は酷暑のベルーナドームで「完投はなし」と指示していたが、近未来のエース候補がルール無用の力投で、チームを5カード連続の勝ち越しに導いた。
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“実験”が、大きな進化を生み出した。達は今季からリリース角度を約10度下げた。投手にとって大きな変化。平均球速がアップし、最速も1キロ更新の156キロをマークした。苦手だったスライダーは真横に曲がる「スイーパー」のように変わり、フォークもジャイロ回転が加わって、より落ちるようになった。
きっかけは、直球とほぼ同じ球速で小さく変化する「カットファスト」、いわゆるカットボールだ。昨季途中から直球に近い意識で投げ始めた。「カットファストの時は(腕を)横から入れるので若干、角度が下がる。そこでリリースすれば一番速い球を投げられるのでは」と考えた。
オフに試行錯誤を重ね、球威とともに進化したフォーク、スライダーを駆使し、大谷超えを果たした。「良い方向に行ってるんじゃないですかね」。高卒4年目。秘めた力を引き出す研究は、始まったばかりだ。【黒須亮】