
<ヤクルト0-6阪神>◇29日◇神宮
阪神佐藤輝明内野手(26)が12球団一番乗り、自己最速73試合目の20号で6得点快勝のトリを飾った。5-0で迎えた8回にダメ押しソロ。入団から5年連続50打点の球団記録も更新した。3番森下翔太外野手(24)も初回に2戦連発となる先制決勝の13号ソロ。今季4度目のアベック弾でリーグ最速40勝に貢献した。チームはこの日、約1カ月ぶりに三塁佐藤輝、右翼森下、左翼前川の開幕オーダーに原点回帰。作戦ズバリの猛打で首位がっちりだ。
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花の都の真ん中で、ファン待望の“神宮花火”が打ち上がった。5-0の8回。ヤクルト丸山翔がカウント2-1から110キロの緩いカーブを投げてきた。佐藤輝は幻惑にもビクともしない。「甘いところにきたので、よかった」。一呼吸ためて鋭く振り抜くと、打球は大きな弧を描いて右翼席へ。打った瞬間に確信し、ゆっくりと歩き出した。
「本当によく投げてくれましたね、将司さんが」。自分より先に同期の伊藤将に触れた。得点力が下がった6月は援護できない試合も多かった。だがこの日は今季4度目、通算7度目の森下とのアベック弾も決まった。3&4番に1発が出れば6勝1敗。当然強い。
ダメ押しソロで両リーグ最速の20号。自身にとってもプロ1年目の77試合を抜き、最も早い73試合での到達となった。球団記録を更新する新人年からの5年連続50打点も、軽々とクリア。打点もトップ森下を2差で追う2位につける。
この日、28試合ぶりに「4番サード」のアナウンスが響いた。佐藤輝が三塁、森下が右翼、前川が左翼に戻る約1カ月ぶりの基本シフトが大当たりした。
「(三塁は)全然違和感なく入れたのでよかったです。久々だったけど、打撃にどうこうはないので。(外野でも)どっちでも大丈夫です」
打球処理の機会は8回2死が最初。ゴロを無難にさばくと、9回2死からは緩いゴロにチャージし、ハーフバウンドでつかんでジャンピングスロー。伊藤将に27個目のアウトを届けた。「4番三塁」の攻守でファンを熱狂させたが、今後については「監督、コーチといろいろ相談しながら」と話すにとどめた。
数字が示すように今季は進化が著しい。ただ、本人は一朝一夕ではないと強調する。例えば、強くこだわるスイング軌道。投球の軌道に、どううまくバットを入れるかを探究している。「本当にずっと前からです。プロ入り前か後か…。簡単にできるものではないです」。まだ完成型ではないが、理想に近い打席が増えてきたことは間違いない。
「暑いんでね。体調崩さないようにして、また伸ばしていけたら」。帰り際、スタンドからの大声援に何度も手を振って応えた。7連敗も喫した苦しい6月を2連勝で締め、月間5割をキープ。進化が止まらない虎の4番が、86年バース以来のタテジマキングに突き進む。【柏原誠】