＜明治安田J1：湘南1－1横浜＞◇28日◇第22節◇レモンガスS
湘南が最下位の横浜と1－1で引き分けた。デンマーク1部ブレンビーへ完全移籍するFW福田翔生（24）が本拠地レモンガスSでのラストマッチとなる中、前半41分にMF平岡大陽の得点で先制しながら後半16分に追いつかれた。チーム一丸となって勝ち星を挙げたかったが、4試合ぶりの勝利はならなかった。
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慣れ親しんだレモンガスで、惜別のゴールはならなかった。それでも福田はいつもと変わらぬ姿を披露した。前線から懸命に走り、球際で戦い、クロスが入れば体ごと飛び込んだ。173センチ、63キロの小柄な体。汗をほとばしらせてのエネルギッシュなプレーは走る湘南を体現した。
福田のホーム最終戦を飾ろうと、チームの思いは1つだった。前半41分、鈴木章のクロスから平岡が打点の高いヘディングでゴールを奪った。福田が言う。「球際に行き、体を張ってブロックし、カウンターに出て行く」。湘南らしい攻守一体となったハードワークでもぎ取った1点だった。
しかし勝利で飾れなかった。後半に追いつかれ、自身も34分で交代。ピッチから下がった。「背負いすぎた分、今までにないくらい体が重かった。これで最後かと思うと言葉に表せないぐらいの思いがあります。サポーターへの感謝の気持ちもありました」。
雑草男が成り上がった。東福岡高から19年、当時JFLの今治に加入。J3での3年含め4年間の在籍で攻撃的MFながら無得点。出場機会にも恵まれず契約終了となった。23年に加入したYS横浜でFWにコンバートされるとJ3で大ブレークした。4カ月の在籍で21試合11得点。憧れの兄湧矢の存在が大きかった。2歳上の兄も同じ東福岡高からG大阪へ入り、1年目の開幕戦から先発出場した憧れの存在。「お前には力がある」。その言葉に励まされた。「いつか兄とJ1で対戦したい」。夢はかない、湘南へ移籍。一気にカテゴリーを2つ上げた。
湘南でも昨季10得点し、今季も4得点。チームに欠かせない存在となり、欧州へのチケットを手にした。「相当な覚悟を持って決断した。湘南では90分を通してメチャクチャ戦えるようになったところは大きい。点を取るだけでなくアシストもできるようになった」。次節のアウェー神戸戦が国内ラストマッチ。成長した姿を家族に見せ、夢の欧州へ旅立つ。【佐藤隆志】
◆福田翔生（ふくだ・しょう）2001年（平13）3月23日生まれ、福岡県出身。東福岡高から19年に当時JFLの今治に加入。4季の在籍で無得点に終わり、契約満了で退団した。23年に当時J3のYS横浜に移籍。8月までに11得点をマークして注目を集め、シーズン途中にJ1湘南に引き抜かれた。24年にJ1リーグ戦で10得点を挙げた。東京VのMF福田湧矢は実兄。173センチ、63キロ。
