
<ホワイトソックス1-4ダイヤモンドバックス>◇24日(日本時間25日)◇レートフィールド
ダイヤモンドバックスのスター二塁手、ケテル・マルテ(31)が、敵地シカゴでの試合中に涙を流した。
1回に先制の15本塁打を放つなど、5試合連続複数安打をマークしてから迎えた、7回2死一塁の第3打席だった。心ない観客が17年に交通事故で亡くなったマルテの母を侮辱する発言を浴びせた。マルテは三塁に飛球を打ち上げ、ベンチに戻る際、涙を浮かべ、その観客を見つめていた。
守備に就いても感情は揺さぶられ、投手交代の際にも涙が止まらなかった。元ヤクルトのトーリ・ロブロ監督がハグしながら慰めても、遊撃手のペルドモが声をかけても、涙があふれた。
MLBコムによると、ロブロ監督は試合後「あれは本当にひどい瞬間だった。ファンは時に意地悪で、行き過ぎることがある。私は選手たちを愛しているし、守るつもりだ。ケテルとは9年来の付き合いだ。彼が素晴らしい瞬間も、人生の困難な局面も経験してきたのを見てきた。彼には本当につらい出来事があった。人間なんだ、私たちは。感情を持ってる。彼が苦しんでいる姿を見て、守らなければと思った」と話した。
ロブロ監督とバニスター・コーチが球場の警備担当者に通報し、当該ファンは退場処分となった。ロブロ監督は「私たちはある程度のヤジや批判には耐える覚悟がある。それがユニホームを着るということだ。でも一線を越えたら話は別だ。その線ははっきりとしている。我々も人間なんだ。今日起きたことは本当に許せない。でも私はこのチームの選手たちを守る、父親のように」と話した。マルテには「愛してるぞ、俺たちは一緒だ。何が起ころうと、何を言われようと、あんなやつの言葉なんて気にしなくていい。あんなバカの言葉に心を乱される必要はない」と伝えたという。
ペルドモは「ケテルはいつも楽しくプレーしてるし、全力で野球をやってる。今日のことは本当に腹が立った。誰が言ったのかは分からないけど、MLBはこの件を見過ごすべきじゃない。これは野球だ。ファンのためのものだけど、一線を越えたら、それはもう許されない」と憤りをあらわにしていた。
母エルピディア・バルデスさんが亡くなった17年、マルテは4試合を欠場してドミニカ共和国に帰郷した。事故の直前、母と電話で会話したばかりだったという。