
<クラブW杯:インテル・ミラノ2-1浦和>◇21日(日本時間22日)◇1次リーグE組◇第2節◇ルーメン・フィールド(シアトル)
E組の浦和は、欧州チャンピオンズリーグ(CL)準優勝のインテル・ミラノ(イタリア)に1-2で競り負け、2連敗で1次リーグ敗退が決定した。前半11分にMF渡辺凌磨(28)が先制点を挙げ、GK西川周作(39)を中心とした堅守で食い下がったが、終盤に力尽き2失点した。日本時間26日の最終戦は、リバープレート(アルゼンチン)と0-0で引き分けたモンテレイ(メキシコ)と対戦する。F組ではドルトムント(ドイツ)がマメロディ・サンダウンズ(南アフリカ)を4-3で、フルミネンセ(ブラジル)は蔚山(韓国)を4-2で下した。
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つかめそうでつかめなかった。世界に名だたる強豪インテル・ミラノからの勝ち点獲得は手中にあった。しかし追加タイムの後半47分、相手シュートのこぼれ球をMFバストーニに押し込まれた。土壇場で1-2と引っ繰り返された。ここまで踏ん張ってきた西川はひざまずき顔をピッチにうずめた。「こんなにもサッカーは残酷なのか」。勝ちたかった、上へ行きたかった。本気で立ち向かったからこそ悔し涙がこぼれた。
自身4度目のクラブW杯で、豊富な経験値を生かした。23年大会の準決勝では世界最強のマンチェスターCと対戦し、0-3と敗れた。ボールを終始握られハーフコートゲームとなった。「いかに我慢強くできるか。しっかり我慢すればチャンスは必ず来る」。今回の戦いは想定できていた。
前半11分、ワンチャンスから渡辺がゴールした。1点をリードしたことで、インテルの勢いがより増した。左右から次々とクロスを放り込まれる。しかし恐怖よりも喜びが勝っていた。「空間を閉じる」。21年から昨年までGKコーチを務めたスペイン人の理論派ジョアン・ミレッ氏のもとでGK論を磨き上げ、多くの解決方法を覚えた。「すごく飛び出すことに今は楽しさを覚えているし、身長はそんなに関係ないことも感じられた」。リバープレート戦の翌6月18日に39歳の誕生日を迎えた。その最初の試合で躍動し「大好きなキーパー」という相手のゾマーより存在感を見せた。
ボール保持率は20%にとどまり、シュート数は5対26と圧倒された。それでも守備でリズムを作り、押し込まれながらも危険な場面は多くなかった。西川という守護神がいてこそできた戦い方だ。「世界との差。この経験を無駄にしてはいけない」。勝てなかった反省は拭えないが、かけがえのない糧をまた1つ得た。