
<西武3-2阪神>◇11日◇ベルーナドーム
西武は炭谷銀仁朗捕手(37)が「日本生命セ・パ交流戦」の阪神戦(ベルーナドーム)でサヨナラ打を放ち、劇的な勝利を飾った。同点の9回2死満塁、岩崎から右前にはじき返し、自身11年ぶり2度目のサヨナラ打。今季の交流戦で12球団で唯一ノーアーチだが、つなぎの精神が今季5度目のサヨナラ劇につながった。2試合連続で終盤に2点差を逆転し、セ・リーグ首位の阪神に連勝。パ・リーグ2位に再浮上した。
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サヨナラ打を打った炭谷が「まさかって感じ」と言えば、ベンチで拳を握った西口監督も「追い込まれた時点で、ちょっとあきらめも入ってた」と少しいじりながら笑った。同点の9回2死満塁、「トルピード(魚雷)バット」で振り抜いた打球が右前に落ちると、炭谷はグラウンドで若手からウオーターシャワーを浴びた。「日ごろの恨みを晴らされてるんでしょうね」とニヤリと笑った。
試合前の「準備」が、至極の一打に直結した。午前11時半、炭谷はまだ暗がりのグラウンドでロングティー打撃を繰り返した。「邪魔しちゃいけないなと思って」と若手のアーリーワーク開始前にグラウンド入り。「ロングティーをやってから感覚がいいんで」と中村剛の助言も頭にバットを振った。第1戦の前には阪神の試合前練習を記者席からチェック。相手選手の練習、動きに目を光らせた。
ミーティングでも「準備」は万全だった。西口監督らに「昨日の試合前から、笑いながら話してたんですよ。(対岩崎は)4の3、得点圏では2の2って」とさりげなくアピール。指揮官に「淡い期待はしてた」と抱かせ、追い込まれた後に1度はあきらめかけさせた後、歓喜に包んだ。正確な数字は6打数3安打、得点圏は3打数2安打としっかりオチも作るのも、ベテランの技? だった。
つなぎの意識が、劇的な勝利へと結びついた。0-2で迎えた9回、1死からセデーニョは四球、ネビンが死球で出塁。外崎が内野安打を放ち、1死満塁から源田が同点の2点適時打を放った。交流戦は12球団で唯一のノーアーチ。同8試合消化時点で0本塁打は球団ワースト記録を更新したが、今季7回終了時でリードなら30戦無敗だった阪神の「勝利の方程式」を2試合連続で攻略し、リーグ2位に再浮上した。【久保賢吾】