
すべてのテストがW杯へと通ずる。日本代表は今日10日、26年W杯北中米大会アジア最終予選の最終戦でインドネシア代表と対戦する。W杯切符は手にしているが、本大会に向け、不測の事態を想定した貴重な機会と位置付ける。今回の活動では3選手が途中離脱。森保一監督(56)はMF遠藤航(32=リバプール)を3バックの中央で起用するなど、別ポジションで起用するプランも持ち、新たな可能性を探る一戦とする。
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森保監督は9日の公式会見で「いくつかのポジションで変更して、試合に臨みたいと思っている」と5日のオーストラリア戦からの選手入れ替えを明言した。選手のテストや融合を目的に、新たな組み合わせで臨む考えを説明したが、1年後に開幕する本番でのシミュレーションという面でも大きな意味を持つものとなる。
今回の活動ではDF町田、DF渡辺、MF熊坂が負傷離脱。特にDFとして招集した選手は5人に減り、緊急事態の対応力が問われることになった。この状況に指揮官は「このアクシデントの中で、我々にとってはチャレンジするチャンス。ポジティブにチャレンジできればなと思う」。W杯本番でも想定される事態となったことを有効活用し、大会をイメージして臨む考えだ。
選手だけでなく、起用するポジションの変更も頭にある。会見に同席したMF遠藤の名前を挙げて「主将(遠藤)は中盤でもディフェンスラインでも、時には前線でもプレーできる。そういう起用はこれまでと違うかもしれないが、複数のポジションをこなせる選手はいるので、不測の事態が起こった場合の次の手は考えて試合に挑みたい」。一部選手をこれまでとは違うポジションで起用する可能性にも言及した。
試合展開によっては3バックでの起用の可能性も浮上した遠藤は、終了間際の失点で初黒星を喫したオーストラリア戦を振り返って「残り時間が少ない中で失点してしまった。最後まで足を伸ばす、マークに付くというところでちょっとした隙が見られた。ディテールにこだわらないといけない」と指摘。所属するリバプールでセンターバックでの出場も増やした主将は、代表でもその役割をこなす準備を整える。見据えるのはW杯の頂点。苦境を成長機会とする日本が、最終戦で新たな姿を見せる。【永田淳】