
肺炎のため、3日に89歳で死去した巨人長嶋茂雄終身名誉監督。7日の通夜、8日の告別式が終わり、世の中を明るく照らし続けた太陽は旅立ちました。都内の長嶋邸には、一報から報道陣が集まり、弔問を取材。いつもメディアに優しかった長嶋さんに、最後まで甘える形で詰めることになりました。3日午前9時半から、6日の午後4時まで…閑静な都心の一等地、78時間30分の群像に潜入です。
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異例中の異例と言える弔問に、報道陣もどよめきを隠せなかった。元巨人の柴田勲さんは、長嶋さんが亡くなった翌日の4日から、3日連続で自宅に訪れた。
3日目を終え「毎日来てる。毎日毎日、明日も来いって言われてる。毎日来なきゃね。俺の兄貴みたいなもんだから。一番、多分、野球選手の中でいろんなことで親しくさせてもらったから」と通い詰める理由を明かした。
一般的に弔問とは、最後の別れを告げるもの。別れを告げるどころか、翌日の約束まで決まっているという。周囲にどれだけ驚かれようとも、柴田さんは“兄貴”に寄り添いたかった。「俺が長嶋さんと一番遊んでもらったから。一番気さくだったんでしょ。俺と土井のしょうちゃんが。家も近いし、何かと親しくさせてもらったんでね。ほら、近くて気楽だし、後輩だし」と懐かしそうに話した。
長嶋さんが現役最後に使ったグラブも譲り受けたとも明かした。何度も急にゴルフに誘われ、何度も「おい、行くぞ」と食事に連れ出されたという。あの頃のように「もう最後ぐらいは毎日」会いたかった。
毎日、訪れても「いろんな人が来るから、俺はただ待機して、合間を縫って長嶋さんと話するだけ」と多くの言葉は不要。語らずとも伝わる。そんな思いが感じられた。
もちろん、通夜と告別式にも姿があった。V9時代は不動のリードオフマンと4番。目に見えない絆と縁が、思わぬ形で明らかになった。【寺本吏輝】
◆長嶋邸の前・時系列
【6月3日】
午後1時17分 長嶋さんが自宅に到着。長男の一茂さん、次女の三奈さんが付き添う
25分 ソフトバンク王貞治球団会長が到着
その後、巨人川相2軍野手総合コーチ、谷佳知・亮子夫妻、元総理大臣・中曽根康弘さんの息子の中曽根弘文参議院議員らが弔問
【4日】
午前4時57分 ニューヨークから緊急帰国した松井秀喜氏が到着。約2時間、弔問した
9時半 中畑清氏が弔問
10時 高橋由伸氏が、妻で元日本テレビアナウンサーの小野寺麻衣さんとともに弔問
その後、柴田勲氏、篠塚和典氏、定岡正二氏、松坂大輔氏、青木功日本ゴルフツアー機構前会長、里見治セガサミーホールディングス株式会社代表取締役会長らが弔問
【5日】
午前10時すぎ 柴田勲氏が2日連続の弔問
午後1時半 元NHKの青山祐子アナウンサーが弔問
【6日】
午前9時 元広島監督の山本浩二氏が訪問
同30分 日本ハムの栗山英樹CBO
10時10分 柴田勲氏が3日連続で
正午 歌手の山口かおる
午後1時10分 報道陣にすいかの差し入れ
【7日】
午後2時33分 長嶋さんを乗せた車が自宅を出発
3時13分から24分 東京ドーム周辺を走行
4時3分 斎場に到着
6時 通夜が開式