
<明治安田J1:C大阪4-2清水>◇第19節◇1日◇ヨドコウ
セレッソ大阪FW北野颯太(20)が、オーストリア1部ザルツブルクへの完全移籍前最後の試合に先発で出場。小学4年から約12年間在籍したC大阪で、仲間とともに今季4度目の逆転勝利をつかみ、涙の別れを告げた。
自身は得意の優しいスルーパスで2得点を演出。勝利を決定づけ、これを置き土産にした。
「あれは自分の形で、特長を出せた。最低限のパフォーマンスはできた。満足はしていないが、自分の成長も感じた。幸せな1日だった」
観客は今季最多2万864人を動員。試合後のセレモニーで背番号38は泣いていた。
「このチームで育ち、エンブレムを付け、海外に挑戦できることがうれしい。このチームで得たものは、一生忘れない。もっと大きな選手になって、みなさんに活躍を届けられるように頑張りたい。サポーターのみなさん、熱い声援ありがとうございました」
チームでは今季、副主将も務めてきたが、故障で欠場中のMF田中駿汰(28)から初めて主将マークを左腕に巻かれた。
試合中は自分で奪ったPKを蹴ったが、失敗。それでもその後、自身が2点を演出し、仲間が怒濤(どとう)の4ゴールだ。
試合後はMF香川真司(36)や、C大阪からオランダ1部AZに移籍したDF毎熊晟矢(27)、クラブOBの柿谷曜一朗さん(35)、C大阪時代に先輩で、明日2日に37歳の誕生日を迎える清水MF乾貴士(2日に37歳)らに声をかけられ、記念写真も撮影した。
2日にも欧州へ旅立ち、現地で正式契約を結ぶ。ザルツブルクが出場する14日開幕のクラブW杯の米国遠征には同行し、26日の1次リーグ第3戦Rマドリード戦での新天地デビューの計画もある。C大阪で育てられた思いを胸に、世界に羽ばたく。
◆北野颯太(きたの・そうた)2004年(平16)年8月13日、和歌山・有田市生まれ。小4からC大阪U-12のエリートクラスに入り、U-15、U-18に昇格。高校1年の20年10月25日に、J3G大阪戦でクラブ史上最年少16歳2カ月12日で公式戦出場。高校3年進級前の22年2月に前倒しでプロ契約を結ぶ。準優勝した同年ルヴァン杯では高校生で史上初のニューヒーロー賞獲得。23年5月のU-20W杯では日本代表として松木玖生、高橋仁胡らと1次リーグ全3試合に出場。同年6月の神戸戦でJ1初得点をマーク。J1通算68試合8得点。背番号38。172センチ、60キロ。