
<新潟県高校総体・サッカー:新潟明訓1-0北越>◇31日◇準決勝◇五十公野公園陸上競技場
新潟明訓が北越を1-0で下し、3大会ぶり決勝進出を決めた。後半31分、2年生で背番号10をつけるFW田代蓮翔(長岡JYFC)が鮮やかに決勝点をもぎ取った。昨年度全国総体3位で、県総体4連覇を狙う帝京長岡は悪天候による40分以上の試合中断がありながらも、MF吉原巧也(3年、長岡JYFC)の2得点などで開志国際を5-0で粉砕した。6月1日の決勝(午後1時30分から午後2時開始に変更)は五十公野公園陸上競技場で行われる。
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スピード豊かなレフティーが、北越の最終ラインをぶち抜いた。0-0の後半23分に投入された田代は同31分、MF上田陸(2年)からの縦パスに中央を抜け出し、飛び出した相手GKの脇を通す左足チップキックでゴールネットを揺らした。チームを3大会ぶりファイナルに導く今大会初ゴール。「日頃から(GKと)1対1の練習をさせてもらっているので緊張せずに持ち込めた。慣れない天然芝。ハーフタイムに試した時の感覚もありチップキックを選択した」と冷静な一撃を笑顔で振り返った。
エースナンバー10を託される今季は春先に右すねを負傷。ジョーカー起用が続く今大会はここまで3回戦の15分間のみの出場だったが、2試合目の出番となったこの日にゴールという結果でスポットライトを浴びた。「守備陣が壁を作ってくれていたので、攻撃陣がやるしかないと思っていた」。
出身の長岡JYFCでは小学生時代にサイドバックでプレーし、中2でFWが主戦場となった。「足は速くないけど体力があって常に同じスピードで走れるので、みんなが疲れて来ると速く見えるだけ」と謙遜するが、高校入学から1年で最高速度は28キロから31キロにアップした。「手応えは感じている」。スピードを磨き、もっと怖い点取り屋になることが目標だ。
次戦は3大会前の決勝で屈した帝京長岡とマッチアップする。全国選手権に出場した昨秋の県大会準決勝では、途中出場から同校相手に決勝点を決めている。「また、俺が決めて全国に行きたい」。ついに目覚めたエースが県大会秋春連覇を誓った。【小林忠】
坂本和也監督(39)の采配がズバリ的中した。先発のFW祝拓海(3年)がゴリゴリと相手センターバックにダメージを与え、最後は途中投入の田代が仕留めた。「いろいろなセット、組み合わせを考えながら」。指揮官はゴールシーンでベンチ前で田代を追うように並走し、ガッツポーズで喜んだ。エースのジョーカー起用について「コンディションはいいしピンピンしている。相手からしたら10番がベンチにいたら嫌ですよね? 」とニヤリと笑った。
守備陣も安定した。北越に何度もチャンスを作られながらも最終局面のバトルを制して無失点で乗り切った。「0-0はウチのゲーム、と伝えている。いいマインドで焦れずに戦えている」。帝京長岡との決勝に向け「いいゲームで優勝したい」と力を込めた。