
<高校野球春季北信越大会:関根学園1-0小松工>◇31日◇1日目◇三条パール金属スタジアム◇1回戦
関根学園が小松工(石川)を1-0で破り、準決勝に進出した。
右サイドスローのエース鈴木興丞(3年)が8安打に抑えて公式戦初完封。わずか88球で締めた。北越は長野商(長野)に2-4で逆転負けした。新潟明訓-富山第一(富山)、中越-敦賀気比(福井)は降雨のため継続試合になり、1日にハードオフエコスタジアム新潟で行われる。
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鈴木がほえた。9回裏1死一、三塁のピンチ。内角を突いて5-4-3の併殺に仕留めると、雄たけびを上げながら右のこぶしを握り、跳ねるようにマウンドを降りた。
「気合を入れた。練習試合でもサヨナラ負けが多かったし、中越戦もそうだったので」。春季県大会準決勝、中越に9回裏1死満塁から適時打を許して3-4で敗退した。まだ鮮明に残る悔しさが持ち前の強気を倍増させた。臆せず厳しいコースを攻めて勝利をもぎ取った。
1点差のピリピリムードにも「基本は3球勝負」と遊び球を不必要に使わず、わずか88球で公式戦で初めて0を9個並べた。カットボールと直球で追い込み、得意のスライダーで決めに行く。県大会では自重していたウイニングショットを北信越大会で解禁。安川巧塁監督(33)が「この試合のポイントだった」という8回裏2死一、二塁のピンチ。小松工の好打者、3番東大輝中堅手(3年)を、1ボールから3球続けてスライダーで空振り三振に切って取る。
5回までは無表情で淡々と投げていた。味方が6回表1死一、三塁から2番植木琉友二塁手(3年)の二ゴロの間に1点を挙げると、その後に一変。アウトを取る度に声を出し、ガッツポーズを繰り返す。「自分が暗い顔をしていると盛り上がらないので」。気持ちを前面に出したのはエースであり、主将でもある自覚から。昨秋、主将に就任してからチームメートに盛んに声をかけ、ベンチで指示を出すように意識してきた。
「全責任を負え、と言ってある。頼もしくなってきた」。安川監督は大黒柱をたたえた。鈴木は「残りの試合も全部投げるつもり。夏の終盤は連戦になるので」。北信越は夏の県大会を見据えた腕試しの場。自信を深めるために春の頂点を目指す。【斎藤慎一郎】
○…中越と新潟明訓は降雨のため継続試合になり、1日に仕切り直しとなった。中越は7-3とリードした9回表1死で中断。1、2回表に主将の4番窪田優智捕手(3年)が2打席連続適時三塁打を放つなど、3回までに7得点。エースの左腕雨木天空投手(3年)も敦賀気比の反撃を3安打3点に抑えていた。新潟明訓は1-1の7回裏にエース田村洸太郎(3年)が富山第一打線に捕まり3失点。1-4とリードされた8回表の攻撃前に中断になった。