
<DeNA6-2ヤクルト>◇30日◇横浜
老け込むにはまだ早い。DeNA戸柱恭孝捕手(35)が横浜の夜空に2年ぶりのアーチをかけた。4点リードの4回無死、ヤクルト先発山野の128キロスライダーに食らいついて振り切った。右翼席への1号ソロはリーグ戦では2年ぶりの本塁打。表情を変えずにゆっくりとダイヤモンドを1周し「去年も打ってないので感触も分からなくて…。ベースの周り方もぎこちなかったかなと。日頃から準備していて良かった」と積み重ねのたまものだった。
姿勢と背中でナインを引き締める。今季は8学年下の山本と14学年下の松尾に先発を譲ることが多く、この日は17試合ぶり、今季6試合目のスタメンマスク。それでも「プロなので」と限られた出番の中でも準備は欠かさない。ビジターゲームはチームより一足先に外野を孤独に走る。「練習から試合と同じように100%でやること」と毎練習後にはヘロヘロになりながら、実戦感覚が空いても違和感の内容に準備してきた。
ベンチ内ではプロ10年目の経験と捕手としての洞察力から、気付いたことは伝える。「コーチ目線とは違った選手目線で。チームのために思ったことは言うようにしようと」。率直な意見で若手選手の活躍ぶりを陰で支えてきた。でも、まだまだ“世代交代”には早すぎる。「若い捕手も頑張ってるので、おじさんも頑張ってる姿を見せられれば」。やすやすとポジションを譲る気はない。【小早川宗一郎】
▽DeNA三浦監督(攻守で活躍した戸柱に)「お父さんみたいな存在。出てない時でも常にいい準備してくれている。よくやってくれてます」