
悲願の初優勝か15季ぶり4度目か。サッカーの欧州チャンピオンズリーグ(CL)決勝が31日午後8時(日本時間6月1日午前4時)からドイツ・ミュンヘンのアリアンツ・アレーナで行われる。準Vに泣いた2019-20年シーズン以来の決勝に挑むパリ・サンジェルマン(フランス)は、バルセロナ時代の15年に制覇した「請負人」ルイス・エンリケ監督(55)が攻守を整備。インテル・ミラノ(イタリア)は、就任4季目のシモーネ・インザギ監督(49)が10年以来の王座を狙う。
いよいよ新方式元年の欧州王者が決まる。参加チーム数が32から36に増え、決勝までの試合数も最大13から17に増えたCL。その初代にして、クラブ初の戴冠を目指すパリSGは1次リーグ15位から17試合目、まさに、はい上がってきた。決勝トーナメント1回戦では、同首位のプレミアリーグ王者リバプールをPK戦の末に破って勢いに乗り、準決勝もアーセナルに2戦合計3-1。Bミュンヘンに敗れて夢が破れた20年以来の決勝で、借りを返す。
メッシ、ネイマール、エムバペがいた頃の豪華さはないが、特別扱いで守備が免除されたスターがいない分、当時は希薄だった一体感をルイス・エンリケ監督が醸成した。10年前にバルセロナを頂点に導いた知将の下、得点ランク6位タイの大会8ゴールを挙げるFWデンベレが先発でもスーパーサブでも怖い存在。GKドンナルンマも母国イタリアの雄に立ちはだかる。
インテル・ミラノは、名FWのフィリッポを兄に持つインザギ監督が4季目で若手とベテランを融合。準決勝では、バルセロナとの大会史に残る死闘を2戦合計7-6で制した。その第2戦には経験豊富な30代が8人出場。ランク5位の9得点を誇る27歳の主将、L・マルティネスを盛り立てる。優勝は3度、決勝は7度目の常連。マンチェスターCに屈した23年ファイナルの悔し涙を知る選手も多く、浮足立つこともない。
波乱が増した新生CLを象徴するように、フランス-イタリア勢の決勝は32季ぶりとなった。顔合わせと同様、読めない勝負。ビッグイヤー(優勝杯)を掲げる瞬間まで目が離せない。