
<高校野球春季関東大会:健大高崎7-2専大松戸>◇25日◇決勝◇ノーブルホームスタジアム水戸
健大高崎(群馬1位)が2年ぶり4回目の優勝を果たした。13安打7得点で専大松戸(千葉1位)を圧倒。投げては4投手の継投で、8回途中からは最速158キロ右腕、石垣元気投手(3年)がマウンドへ。9回は3者連続三振で打ち取る好救援で逃げ切り、投打で強さを示した。
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少し戸惑いながら、石垣元が右手の人さし指を高々と突き上げた。9回を3者連続三振で締めくくると、次々と集まってくるチームメートに抱きつかれた。「(マウンドで)何をしたらいいかわからなくて(笑い)」。県大会を含めて7度の優勝を経験してきたが、優勝投手になったのは初めて。「気持ちよかったです」と笑顔で振り返った。
守護神として、勝ちに導く投球を選択した。5-1の8回、1点を返され、なおも1死満塁の場面で登板。名前を告げるアナウンスに、球場が大歓声に包まれた。1球1球に注目が集まる中、初球の真っすぐを強打された。遊ゴロ併殺でピンチを切り抜けたが「今日は真っすぐでいこうと言っていたんですが、小堀(捕手)に『フォークでいこう』と伝えました」と、方向転換。9回はフォークで3者連続空振り三振に打ち取った。1回2/3、打者4人に14球を投げ、自慢の直球は4球のみ。スカウトのスピードガン表示では154キロが2球。直球はもちろん、変化球の精度も証明した。
エースとしてチームを勝利に導く責任がある。「大会前、試合に出ている選手が責任をもって取り組もうと話をした」。朝練習では、県大会からメンバー入りした選手の打撃投手を買って出た。どんな時も、チームのために投げる。大黒柱として、存在感は大きくなった。
6月からは、昨夏にトミー・ジョン手術を受けてリハビリ中の佐藤龍月外野手(3年)も投球を開始する。背番号1を争うライバルでもあり大親友の復活を「本当に待ち遠しい。楽しみな気持ちしかない」と心待ちにする。「絶対的な安定感がまだ足りない。夏に向けて、仕上げていきたい」。今夏は、甲子園の優勝投手を目指す。【保坂淑子】
▽健大高崎・青柳博文監督(今大会を振り返り)「投手をいろいろなケースでの使い方ができてよかった。接戦で粘り強く戦えたのが非常に大きい。夏はもう1度、執念を持って根性と気合で戦っていきたい」