
<阪神4-0巨人>◇20日◇甲子園
最後のアウトを奪うと、阪神才木浩人投手(26)の笑みがはじけた。今季最多129球を投げきり、9回5安打無失点。巨人戦で自身初の完封勝利を挙げた。
「完封は相手関わらずうれしいけど、甲子園もそうだし、伝統の一戦でできたのはすごくうれしいです」
序盤2イニングで43球を要しながらも、3回以降にペースアップ。100球を超えた9回は2死一、二塁を招いたが、最後はリチャードを遊ゴロに仕留めた。2回には一塁への内野安打で今季初安打も決めた。メジャー球団のスカウト陣も視察した中、堂々の今季4勝目。巨人戦は今季2戦2勝で、甲子園では23年9月14日から6試合で無傷の5勝0敗となった。今季も「Gキラー」ぶりは健在だ。
この日は才木にとって縁の深い、OB能見篤史氏(45)が来場していた。才木自身、幼少期は1人の野球少年として甲子園で観戦。当時はあまりプロ野球に興味はなかったが、おぼろげながら残っている記憶がある。「能見さんが投げているのは覚えてますね…」。中学3年時には参加した野球教室で、直接指導を受けたこともある大先輩。この日は試合前の取材で、エールを送られていた。
能見氏 今は進化してる最中。いろんな壁はどんどん出てくる。彼自身が、それは打ち破ってくれると思う。もう少し楽しんで投げてほしいなとは思うんですけどね。
言葉を受けた才木自身は「すごくありがたい」と感謝を口にした。今季はこの試合まで3勝3敗。納得のいく登板ばかりではなかった。「今年の、自分の登板の姿を見て思ったことだと思う。見てくれているんだと思いますし。初心に返ってじゃないけど、今日はどんどん思い切っていこうという感じでいけたので。ありがたいなと思います」。
能見氏も現役時代は巨人戦に強かった。かつて見た先輩と同じように大観衆の前でG倒を決めた。【波部俊之介】