
<春季高校野球北海道大会:苫小牧中央3-2北海道大谷室蘭>◇18日◇室蘭地区代表決定戦◇とましんスタジアム
苫小牧中央が北海道大谷室蘭を3-2で下し、3年ぶり3度目の春全道出場を決めた。背番号10の村上広大投手(3年)が9回6安打10奪三振で公式戦初完投勝利を挙げた。陸上のジャベリックボール投げで小学4年生の北海道記録を持つ右腕が白星をつかんだ。
◇ ◇ ◇
苫小牧中央の村上が125球を投げ抜き、全道切符を手にした。9回は1点差に迫られ、なお2死二、三塁のピンチ。最後の打者を一邪飛に仕留めると、ほっとした表情で整列した。100キロ台のスライダーが効果的で、奪った三振は10。公式戦で初めて完投し「前半は良かったけど、後半は疲れてボール(カウント)が先行してしまった。野手を信じて投げることができたので良かった」と振り返った。
北海道大谷室蘭戦での登板は2度目だった。背番号3だった昨秋は、地区予選3回戦で7回途中から救援し、延長11回タイブレークでの勝利をもたらした。渡辺宏禎監督(56)は「制球力がいい。マウンド度胸が成長している」と認め、全道大会出場がかかる試合を最後まで任せた。
小学生時代は陸上と両立。17年8月5日、東日本の大会でジャベリックボール投げ小学4年生の部で47メートル41で優勝した。同記録は同学年の北海道記録として、いまも破られていない。前方に向かって真っすぐ力を加えることで距離を伸ばす種目が得意だっただけに、「遠くに投げる力は生きているのかな」と肩の強さには自信を持つ。
23年ドラフト1位で広島入りしたOBの斉藤が、2日の中日戦で1軍デビューしたばかり。村上の入学とは入れ違いだが「誇りです」とあこがれる。日本ハム根本を含め、プロ入りした先輩たちも果たせなかった夢を追う。「夏の甲子園を目指して頑張っている」。まずは春、全道舞台で力を試す。【保坂果那】
◆ジャベリックボール投げ 陸上競技の投てき種目。使用するボール後方には羽根がついており、大きさは約32センチ、重さは約140グラム。全国小学生大会で16年から採用されている。類似種目にジャベリックスローがあり、ターボジャブと呼ばれる、やり状の投てき物を投げた距離を競う。やり投げの導入として開発された。