
<DeNA1-1阪神>◇13日◇ハードオフ新潟
第2の故郷は、阪神桐敷拓馬投手(25)を温かく迎え入れた。新潟医療福祉大時代に練習試合やリーグ戦などで、何度も立ったハードオフ新潟。名前がコールされると、球場の至るところから声援と拍手が沸き起こった。
「すごく楽しかった。良かったです。行った瞬間に多くの人が声援を送ってくれて…。うれしかったし、貴重で特別な時間でした」
1点ビハインドの8回に登板。先頭牧には強烈なライナーをはじかれたが、三塁佐藤輝の好捕に助けられた。続く度会を二ゴロ、最後は4番オースティンを148キロ直球で見逃し三振。3者凡退だ。「テルさんのおかげで。ありがたかったし、その後もしっかり抑えられてよかった」。懐かしいマウンドで9試合連続無失点。防御率0・64の安定感をここでも見せた。
大学を卒業してからプロ4年目。昨季は70試合登板、43ホールドポイントで最優秀中継ぎのタイトルを獲得。堂々の凱旋(がいせん)登板だった。前日の段階で連絡が入り、この日は当時の友人らも来場。DeNA主催のビジターゲームながら、人一倍強い思いを持って臨んだ一戦だった。
「なかなか毎年必ずDeNAと阪神が新潟でやるわけではない。どんな場面でも、投げられる姿をみんなに見せられれば」
新潟での1軍戦は、シーズン中に何度も行われるわけではない。地元の野球少年にとっては、テレビの中の選手を間近で見られる貴重な機会となる。「自分は新潟にお世話になった。大学時代は小さい子に野球教室もやったけど『少しでも覚えてもらえるように』というのがプロに入った上で1つあったので」。
在学当時には自身も同球場でDeNA対ヤクルト戦を観戦したことがあった。見ていた立場から、見られる立場へ-。新潟の仲間や子どもたちへ、堂々たる姿を届けた。【波部俊之介】