
テレビ朝日は、12日に放送した「Get Sports」で昨季新人王を獲得した西武武内夏暉投手(23)の密着特集を行った。
無人のベルーナドームで階段をゆっくりと降りるシーンからスタート。武内は「人のいないドームは新鮮ですね。いつも満員なので。(マウンドからの観客席は)意外と鮮明に見えます。タオルとかフラッグ振ってるとか見えますね」と広い観客席を見渡した。
今年1月、プロ入り後初の自主トレは西武平良海馬投手(25)率いる沖縄・石垣島での合同自主トレに参加した。ルーキーイヤーに2桁勝利を挙げた左腕は、チェンジアップ、スライダーなどすべての球種を自在に操る高い制球力が持ち味。一方で奪三振率は、昨季リーグワースト4位と低かった。1年目を終えて「三振を取りたいときに振ってくれない、どうしてもファウルで粘られてしまう」と三振率の向上を課題に挙げていた。
弟子入りした平良は、24年シーズン終了時点で通算426奪三振をマーク。22年には最優秀中継ぎを獲得するなど、チームに欠かせない投手陣の大黒柱だ。
トレーニングに自前の計測器を持ち込むなど、球界随一の豊富な知識を誇る。武内は「まだ知識がなくてぼやっとしている。平良さんから話を聞いて明確にしたい」と弟子入りの背景について明かした。
同自主トレでは、膝下付近に設置した高さの棒を潜り抜けるなど、柔軟性や体幹を生かしたトレーニングが行われたが、武内は苦戦。「平良さんと一緒にやっていると、できない動作が多い」と基礎の不足を痛感したという。
食事では、栄養士が計算したメニューが用意された事前に配布された資料を読み、栄養士の講義を聞きながら食事を行った。「食べる順番とかもあまり考えていなかった、そのあたりの意識は低かった」と野球技術のみならず、食生活まで徹底した先輩の自主トレに食らいついた。
自主トレを通じて「今までは腕で投げている意識が強かったが、腕じゃなくて脇の下から引き込むと加速する。フォームを変えようとは思ってないですけど、肩が良い位置で出やすくなるので、力の伝わりが良くなる」と体の使い方を見直した。
だが、自主トレ中に左肘の違和感を覚えて急きょ帰京となった。左ひじ靱帯(じんたい)損傷と診断され、1カ月のノースロー調整に。キャンプではチームメートが実戦練習を行う横で1人室内練習場向かい、リハビリに励む日々が始まった。そこで黙々と取り組んだものが、平良のもとで学んだトレーニングだった。「逆に進化して戻れるんじゃないかな。前よりも良い形で戻れる」とプラスに捉えて自分を見つめなおした。
順調に回復し、3月にはブルペン入り。4月23日にはDeNA2軍戦(ベルーナドーム)で、奪三振ショーを披露。初回の2者連続三振を皮切りに、6回9奪三振無失点と好投した。オフに取り組んだ「奪三振」の成果を存分に発揮。「去年よりもいい状態に持っていくために取り組んでいるので、1年通して状態を上げていきたい」と手ごたえを胸に、1軍復帰に向けて意気込んだ。