
<阪神1-0中日>◇11日◇甲子園
母も見守る中で好投した。阪神ドラフト1位の伊原陵人投手(24)がプロ2勝目を挙げた。5回2/3を投げ、4安打、無四死球、2奪三振で無失点。試合終了後はベンチ前で、少し目尻を下げてハイタッチ。「母の日」の勝利をかみしめた。
「勝ちは僕だけのものじゃない。チームで勝ったことが一番デカい。親には一生懸命頑張っているところを見てもらうのが大事」
5回終了時で52球。前日10日にマダックス(100球未満での完封)を達成した智弁学園の先輩、村上の57球を上回る省エネ投球だった。ただ、6回は先頭から連打を許し、2死一、三塁で降板。「前回からの修正で『リズム良く』と心がけた。最初は良かったですが、もっと長く投げられるようにしたい」。前回4日ヤクルト戦は6回1/3で100球を要して4失点。プロ初黒星からの改善には成功したが、反省も忘れない姿勢が頼もしい。
プロ初勝利の4月20日から約3週間で5つの親孝行をした。まずは初勝利。数日後、地元の奈良に帰省した際はウイニングボールを直接、手渡した。母の日のプレゼントで先日、家族と買い物へ。白地に緑のラインが入ったスニーカーを購入。同時に母優子さん(56)、父伸さん(57)、兄拓人さん(28)夫婦に焼き肉をごちそうした。母は「わざわざうれしかったです。感激しました」と喜んだ。そして、プロ2勝目だ。
幼稚園児の頃は絵を描いて渡すなど、母の日に伝え続けてきた「ありがとう」。今年は投球と贈り物で思いを伝えた。「野球を続けさせてもらった。感謝している。活躍していくことが恩返しにつながると思う」。両親は先発した全4試合を観戦。この日は好投で5つ目の親孝行をした。
9番打者としては第2打席でトルピード(魚雷)バットを使用。空振り三振に終わったが、打撃面でも向上心は変わらない。「できることを頑張れば勝ちにつながる」。これからも両親、そしてチームにとって、孝行息子であり続ける。【塚本光】