
<ヤクルト5-2巨人>◇9日◇神宮
いきなり4番としての大きな仕事を果たした。プロ5年目のヤクルト内山壮真捕手(22)が初の4番で試合を決定づける1発を放った。2点リードの8回、茂木との2者連続となる今季1号ソロで巨人を突き放した。5月に入って3度の完封負けを喫するなど、低空飛行を続けていたツバメ打線。上半身のコンディション不良で離脱し、復帰のめどが立たない村上の“代役”がここからチームを上昇気流へと乗せていく。
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燕の“第111代”の4番が1発回答で結果を導いた。2点リードの8回1死、内山がケラーの外角153キロ直球を捉えた。ライナー性で左中間スタンドに運んだ。今季1号は23年7月17日巨人戦以来となる自身2年ぶりのアーチ。「打った瞬間は角度もなく、捕られるかと思ったが、伸びてびっくりした。この感覚を継続できれば」。前打者茂木がカーブを本塁打にした状況を受け、狙って直球を仕留めた。
プロ5年目で初の4番起用は、自らも衝撃だった。練習前、試合のオーダー表をチェックして知った。「ビックリ」目を丸くしたが、すぐに腹をくくった。高津監督は「(作戦で)動かすことも含めた4番起用ということ」と意図を説明。ただ、指揮官の想像を超え、長打力を発揮し、試合を決めた。球団で過去110人が務めていた4番の初試合での本塁打は15年山田以来、日本人9人目だった。
オフは腰を手術し、5年目を迎えた。キャンプから村上、西川に打撃のアドバイスを積極的に求めた。「股関節の使い方。足が土台となる」と下半身を意識したフォームを追求。レギュラーをつかみきれなかった結果を受け止め、ウエート量を意図的に増やした。力強くなったスイングが打球をスタンドに届かせた。
村上、塩見、長岡と主力を欠く戦いは険しい。開幕2軍から、負傷した村上の代わりに1軍昇格した内山が“代役”4番の仕事を遂げた。「ヤクルトはロング、ロングで点を取っていくチームだと思う。そういった役割を僕がどんどんやっていければいい。楽しさを感じながら日々できている。もっともっと成長できるように」。まだ借金6。ここから燕を上昇気流に乗せる救世主となっていく。【上田悠太】