
<春季高校野球新潟大会:北越2-1柏崎>◇8日◇準々決勝◇長岡市悠久山球場
春季北信越大会(31日開幕、ハードオフエコスタジアム新潟)出場の4校が決まった。北越は柏崎との接戦を2-1で制しベスト4入り。春は16年以来の北信越大会進出を決めた。背番号「1」の左腕、手戸芳紘投手(3年)が9安打1失点、13奪三振で公式戦初完投した。準決勝は10日、長岡市悠久山球場で行われる。
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淡々と116球を投げた手戸は、最後の打者を空振り三振に打ち取ると、無表情のままマウンドを下りた。ただ、胸の内は「無」ではなかった。
5回を除く毎回の13奪三振。「最後はやっぱり三振を狙っていたかも」と少し意識した。2-1で迎えた9回裏は2安打されて2死一、二塁のピンチを招いた。長打を許せばサヨナラ負けもある場面。「捕手のサイン通りに直球を投げた。その結果が三振」。集中してしのぎ、北信越切符を手にした。
これが公式戦初完投。9安打されたが、四死球は0。「しっかりコースに投げ切っていた」と小島清監督(50)は投球内容を褒めた。「制球力が自分の武器」と持ち味を発揮し直球、変化球で厳しいコースを突いた。その結果が13個の三振だった。
今春、初めて背番号「1」をつけたことを「うれしい」と素直に喜ぶ。10番をつけた昨夏の県大会後、腰を痛めて離脱。昨秋の県大会はベンチ登録から外れた。冬場は体幹の強化と筋トレに取り組んだ。体重が4キロアップし、63キロになると腰痛はなくなった。もともと自信があった制球力もアップ。エースナンバーにふさわしい投球を披露し、手応えを感じた。
北信越大会出場を決めたが、満足はしていない。「9本は打たれすぎ。県外のチームが相手だとやられてしまう」と反省。「変化球も直球も、もっと切れを出さないと」と課題を挙げた。夏に背番号「1」を背負うため北信越を腕試しの場にする。【斎藤慎一郎】