
<明治安田J1:新潟2-3東京>◇3日◇第14節第1日◇デンカS
アルビレックス新潟は大卒ルーキーのFW笠井佳祐(22)がJ1初ゴール、1アシストと躍動した。24年の全日本大学選手権(インカレ)得点王は0-2の後半13分に投入されると、同21分、こぼれ球を左足で押し込んで反撃ののろしを上げる。再び2点差にリードを広げられた同追加タイム9分には、頭で左FKの軌道を変え、MFダニーロ・ゴメス(26)のJ1初得点を導いた。3万人が詰めかけた試合は松橋力蔵前監督(56)率いるFC東京に2-3で競り負け、今季ホーム初勝利&今季初の連勝を逃した。
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笠井の目には、ゴールしか映っていなかった。0-2の後半13分に投入されたルーキーは同21分、MF奥村が左の深い位置までドリブルで運んだボールのこぼれ球に素早く反応。J1初ゴールを利き足ではない左足ダイレクトボレーで決めガッツポーズで喜んだ。「おいしいところにボールが転がって来て体が勝手に反応した感じ。狙ったというより勢いで押し込んだ」。
新ストライカー候補のゴールで1点差とした新潟は反撃を開始。敵陣に押し込むと、再び笠井にビッグチャンスが到来する。同29分、同時投入されたゴメスの右クロスにタイミング良く走り込んだが、ヘディングシュートは大きく枠を外した。「あれを決め切れたら逆転できたかもしれない」。押せ押せムードで迎えた決定機を逃すと、同37分、カウンターから再び2点差とされた。
それでも笠井は試合を諦めなかった。「たくさんのサポーターが後押ししてくれてて。2点差なら、まだ行けると思っていた」。1-3の同追加タイム9分、左FKをニアに走り込んで頭でそらし、2-3とするゴメスのゴールをアシスト。その後も同点を目指し相手GKまでハイプレスを仕掛けたが、無情にもタイムアップとなった。「自分の力が及ばなかった。攻撃を活性化させるだけではダメ。最後、決め切るまでが大事」と悔しがった。
推進力のある突破と得点感覚が武器で、24年のインカレでは5得点で得点王を獲得した新ストライカー候補。プロ1年目の今季序盤はベンチ外が続いたが、4月のルヴァン杯2回戦でプロ初得点を奪ってからはJ1で出場機会を増やしている。「ルーキーという甘えは通用しない。スタメンを奪うため、日常からもっとこだわって1点だけじゃなく、2、3点取れるFWになっていきたい」。勝利に欠かせない存在になるため、もっとシュートスキルを高めていく。【小林忠】
○…ゴメスが1-3の後半追加タイム9分、左FKを頭でそらした笠井のアシストから加入3年目でJ1初ゴールを決めた。「体のどこに当たってもいいという気持ちで(ももで)押し込んだ」。勝利は逃したが、得点シーン以外でも笠井との連係からチャンスを多く演出した。「互いのスタイルを話し合い、いい関係は築き始めている。もっと練習から高め合っていきたい」と話した。
▽新潟樹森監督「警戒していたカウンターで失点し、難しいゲームになってしまった。連戦で前半は体が重く、アグレッシブなプレーが出なかった。最低でも勝ち点1を取れるチームにならないと浮上のキッカケにならない。ただ、下を向くゲームではなかった。良かったところを次につなげたい」